核実験場やICBMの爆破は北の「あざといショー」だ

豊渓里核実験場(38north/GoogleEarth:編集部)

米朝首脳会談を前に、北朝鮮が核実験場の廃棄「セレモニー」を実施すると発表しました。

かねてより私たちは、核実験場の爆破「ショー」の開催は、大陸間弾道ミサイル(ICBM)を外国メディアの眼の前で爆破する「ショー」とともに北朝鮮がかならず行う宣伝工作(プロパガンダ)として予測していました。

おまけに、ショーの取材をする外国メディアの中から日本のメディアを排除すると聞き、いかに北朝鮮が安倍政権の動きが気になって気になって仕方がないことが改めて良くわかりました。

「金正恩氏は、米国を牽制するために中国を何度も訪問し、中国を牽制するためにロシアへ外相を派遣し、日本を牽制するために敢えて無視している」。

先月ワシントンD.C.で私に語ってくれたDNI(国家情報局)とCIA(中央情報局)で東アジア地域を担当した経験を持つ有識者の言葉が蘇ります。

米国のシンクタンクなどは、北朝鮮が保有する核はおそらく50-60発、核開発関連施設は全土に40-100ヶ所、原子力工業施設の建物は約400棟と見ています。査察が必要な核「資産」とは、核弾頭だけではありません。ウラン、プルトニウム、迷路のような地下トンネル、数多くの科学者や研究員、膨大な量の研究・実験データ。日米が求める「完全で検証可能かつ後戻りできない核の放棄(CVID)」の実現には、これらを一つづつしらみつぶしに査察しなければなりません。

報道カメラの前で爆破するプンゲリ核実験場なんて、まさに「氷山の一角」です。うわべだけの“融和”ムードに流されることなく、北朝鮮の“あざとい”企みを冷静に分析しなくてはなりません。


編集部より:この記事は、自民党総裁外交特別補佐、衆議院議員・河井克行氏(広島3区、自由民主党)氏のブログ「あらいぐまのつぶやき」2018年5月13日の記事を転載させていただきました。河井氏公式サイト