こんにちは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。
小池知事は過日、都内でホテルなどの宿泊施設利用者に課税される「宿泊税」について、五輪期間中は免除とする方針を発表しました。
東京都方針 五輪期間、宿泊税とらず 公約から対象拡大(毎日新聞)
これは五輪招致時の公約で「大会関係者からは宿泊税を徴収しない」としていたものの、大会関係者と一般観光客の判別を宿泊施設側が困難なため、大会期間中はすべての宿泊者から宿泊税を取るのをやめてしまおう!というものです。
それはそれで良いのですが、結論から申し上げますと、私はこの宿泊税そのものを東京都は速やかに廃止するべきだと考えています。
そもそも東京都内で宿泊する機会の少ない都民は知らない人が多いのですが、東京都内での1泊1万円以上の宿泊には100円、1万5千円以上の宿泊には200円の課税がなされています。
これは東京都がまだ財政危機に瀕していた2002年、石原都知事の決断によって日本で初めて導入された地方税制で、今年から大阪府も導入を決定し、いくつかの自治体も新規導入を検討しています。
一方で福岡市のように、「民間ビジネスの競争力を削ぐ」と市長が慎重姿勢を示している自治体もあります。
宿泊税に慎重姿勢 福岡市長「競争力の低下」懸念 [福岡県](西日本新聞)
私もこの福岡市長の見解に賛成です。
宿泊者が支払うのは100円程度と少額であるものの、これはとりわけ事業者側の大きな負担となり、競争力を損ねます。
行政財源を拡張するために行われる宿泊税導入ですが、これは行政こそがお金を一番有効活用できるという幻想に基づいています。
私は基本的に自由主義者・小さな政府主義者ですので、まったく逆に民間の裁量を広げ、できる限り税負担を少なくしておいた方が経済は活性化すると考えます。
東京都がかつて宿泊税を導入したときは、まだしも財政危機から脱出するという大義名分がありました。
しかしながら、いまや東京都のプライマリーバランスは黒字になっており、宿泊税は単に観光施策などに充てる目的財源となっています。
そして行政がどれだけ熱心に観光PRに財源を投資したところで、潤うのは広告代理店などばかりで、どれほどの効果があるかは疑わしい部分が多くあります。
ならば、宿泊者や事業者に負担を押し付けて行政がお金を集めるのはやめ、都内事業者のビジネス活性化のために還元していく方が、よほど健全なあるべき姿ではないでしょうか。
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施策の見直しを行い、単に財源を付け替えるだけは、真の改革にはなりません。
最終的には「減税」という手法によって行政規模を縮小し、都民に権限・財源を還元していくことこそが「東京大改革」の一つであると、私は考えています。
なお宿泊税を含む「減税」については、3月の予算特別委員会でも取り上げたかったのですが、時間の都合でどうしても入らず…文書質問で提出してあります。
当該部分を下記に掲載しておきますので、よろしければご一読いただければ幸いです。
文書質問に返ってくる答弁は、極めてそっけないものになる予定ですけどね?!
本件は引き続き、議会内外で訴えて参ります。
それでは、また明日。
【都財政における減税政策について】
小池知事は昨年の都議会定例会において、後藤新平の実績に触れながら、今の東京都の現状を「あふれんばかりのぜい肉をつけてしまった巨大な肥満都市」と喝破しました。今年度の予算案では、再び一般会計予算が7億円を突破し、その規模は膨張傾向にあります。肥満都市東京から脱却する東京大改革とは即ち、権限を基礎自治体に移譲し、財源を都民に還元する、スリムで持続可能な都財政の実現ではないでしょうか。
今年度の予算案において、事業評価の実施により676件の見直し・再構築を行い、約870億円の財源確保したことは高く評価する一方で、結局、その用途を変更するだけでは「ぜい肉の付け替え」であって、身体のスリム化にはつながりません。すなわち、都財政そのものの圧縮を目指し、具体的には「減税」という手段で都民に還元していくべきと考えます。
昨年も都議会から、個人都民税の減税という提案がなされました。一考に値する考えだと思います。あるいは平成14年に石原都知事が財政難を理由に導入した宿泊税や、二重課税として廃止を求める声が大きい事業所税など、様々な分野で減税できる可能性があります。今後の予算編成にあたっては、都財政の抜本的なスリム化、減税を検討すべきと考えますが、都の所見をお伺いいたします。
編集部より:この記事は東京都議会議員、音喜多駿氏(北区選出、かがやけ Tokyo)のブログ2018年5月30日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。