自衛隊ってフィリピン軍にタダでヘリ部品くれてやるほど裕福なの?

陸自ヘリ「UH-1J」(Wikipediaより:編集部)

陸上自衛隊多用途ヘリコプターUH-1Hの部品等のフィリピン政府への移転について(防衛省)

自衛隊のヘリ部品無償譲渡 日比防衛相会談(日本経済新聞)

小野寺五典防衛相は2日、訪問先のシンガポールでフィリピンのロレンザーナ国防相と会談し、陸上自衛隊の多用途ヘリコプター「UH1H」の部品をフィリピン空軍に無償譲渡すると合意した。フィリピン軍の能力向上を支援し、南シナ海の軍事拠点化を進める中国をけん制する狙いがある。

UH1Hはすでに自衛隊で退役した機種。フィリピン空軍は海上監視などに使用している。エンジンやベアリングなど、まだ使用できる部品を年内にも引き渡す。民生品としても使える部品のため、防衛装備移転三原則に基づく国家安全保障会議(NSC)での承認は必要ない。

不思議なのは、これ規模や額が全く案内されていないことです。

報道はされていますが、部品種類は約1400点、合計4万点で市場価格では数千万円です。
これ、販売すればよかったんではないでしょうか。

無論、フィリピン軍の能力を支えるための政治的、外交的な判断だと言えるかも知れません。
先には海上自衛隊のTC90を無償譲渡もありました。

ですが、そんな余裕があるんでしょうか?
自衛隊のヘリの稼働率は下がる一方で、共食い整備までしています。P-3Cなんぞも同じです。
売れる物は、何でも売って、防衛費に足しにすべきではないでしょうか。

「高が数千万円」というのであれば、外務省の予算で買い取って援助を行えば宜しい。外交活動だし、「高が数千万円」ですから問題ないでしょう。

そもそも論で言えば、タダで貰ったものは感謝されませんし、大事にされません。ODAを見ても明らかでしょう。

諸外国ではシステマティックに装備、需品を売却するための組織があります。
自衛隊で不要となった装備は外国だけではなく、国内へも入札など手法をつかって諸外国の国防省のように販売すべきです。その売り上げを防衛省が全部取るのか、半分国庫に戻すのか、色々と選択肢はあるでしょう。

また何でこんなに大量のパーツが余ったのか。これ全部税金で買ったものですよ。
キチンとした検証が必要です。

税品で買われた装備、需品などの国有財産が売れるのであれば、できるだけ高く売るべきです。
諸外国に気前よくタダでくれてやるような余裕は国の借金がGDPの約二倍に膨れ上がり、少子化で将来の税収が大幅に不足するであろう我が国のやることではありません。

■本日の市ヶ谷の噂■
発注した仕事の支払いを遅らせることで新規参入業者いじめて追い出そうとしている防衛装備庁に対して会計検査院だけではなく、公正取引委員会も調査を始めるとの噂。


編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2018年6月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。