本当は米国を敵視していなかった北朝鮮国民 --- 古森 義久

北朝鮮当局は長年、北朝鮮の国民は米国を憎悪し敵視しているという主張を続けてきた。朝鮮戦争で米軍に住民を虐殺されたこと、また、戦争後に米国が北朝鮮敵視政策をとったことなどが主な理由だという。

だが米国側の民間研究機関が北朝鮮内部で実施した世論調査では、約7割の住民は米国を敵視していないという結果が出た。この調査結果は米朝首脳会談の直前に発表された。北朝鮮政府の米国政府に対する「敵視を止めよ」という要求に影響を与えかねない事実として注目される。

北朝鮮国内で秘密裡に世論調査を実施

この珍しい北朝鮮内部の世論調査結果を発表したのは、米国ワシントンの複数の研究機関が結成した「ビヨンド・パラレル(境界線を越えて)」(以下「BP」)という民間の北朝鮮情勢研究組織である。

BPはワシントンの戦略国際問題研究所(CSIS)や国際経済研究のピーターソン研究所、ブルッキングス研究所、アメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)などが集まって2016年7月に結成した北朝鮮研究専門の合同調査組織である。CSISの朝鮮部長のビクター・チャ氏やピーターソン研究所の朝鮮研究部長のマーカス・ノーランド氏が中心的役割を果たしている。

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