児相と警視庁の虐待情報全件共有を、知事・都議会に実現させよう!

上田 令子

目黒区で船戸結愛ちゃん(当時5歳)が、食事も与えられず義父からの暴行により本年3月2日虐待死しました。その後6月に入り「もうおねがい ゆるして ゆるしてください おねがいします」というノートが発見され、多くの厳しいルールを結愛ちゃんに課して守れなかった場合に虐待していたという残虐な実態も明らかにされました。

的外れな小池知事・都議会の対応

TOKYO MXより

小池百合子知事は6月13日に東京都子ども家庭総合センター内の児童相談センターを急きょ繰り上げて視察。「どうすれば全国での情報共有がスムーズにいくのか。そのためにも全国統一のルールを国で作ってもらうことはできないか、厚労相に緊急要望する」と記者団に語ったとのことです。視察先が当該事件が起こった品川児相ではなかったこと、そして、国へ要望する前に足元の東京都から虐待情報の児童相談所と警視庁との全件共有を開始しないことは、残念を通り越して憤りすら感じております。

これまでも小池知事は結愛ちゃん事件に関しては「不幸が重なった」とし、虐待事案全件共有に言及せず「警視庁との情報共有範囲の拡大、全庁一丸、スピード感、児童相談体制の強化」に終始。児相が関わっていたのに発生する虐待死は「不幸が重なった」のではなく、単純に品川区児童相談所が結愛ちゃんの現認を怠ったというだけのことです。

警察と情報共有をしていれば、地域の「お巡りさん」が現認をし、父親の二度の書類送検も瞬時にわかり、平均体重を7kgも下回る12.2kgとなっていた結愛ちゃんをその場で保護ができたことでしょう。亡くなってから警視庁が取り調べをするのではなく、生きているときになぜ警察官が行けなかったのでしょうか。これまで通りのこのような体制だったからこそ過去10年で26名もの子どもが児相及び区市町村が関与しながら虐待死に至っているのです。

小池知事の国への要望は、児相と警視庁との全件共有を回避していることへの都民・全国民の批判を避け、「やってる感」を出す論点ずらし、目くらましに他なりませんから、皆さんダマされてはなりません!

一方、都民の代表!頼みの東京都議会では、全国民注目の中、長年虐待死問題に取り組む元警察官僚・NPOシンクキッズ代表後藤啓二弁護士より東京都議会へ児童相談所と警視庁の虐待事案全件共有を求める「児童虐待及び虐待死の根絶に関する陳情」(30第20号の1,2)が提出されていました。6月7日に審査をされたものの厚生委員会では継続審査、警察消防委員会では、共産党のみ賛成をし、「東京大改革」を掲げた最大会派都民ファーストの会、立民民主会派を中心に否決となりました。

あなたのちょこっと勇気で知事と都議会を動かそう!

今、この時も虐待の危機にさらされている子ども達がいます。一刻も早く虐待・虐待死を根絶するためには、虐待情報の児童相談所と警視庁の全件共有は、考えるまでもなく不可欠です!上田のところへも「何かしたいが、どうしたらいいのか?!」とのありがたい声が多数届いています。そこで、どなたでもできる、ちょこっと勇気で小池百合子東京都知事、東京都議会を動かそうではありませんか?!

小池百合子知事へ全件共有をお願いしよう!

6月12日、上田清司埼玉県知事が埼玉県警と児相の全件共有を表明、岐阜県も続いてます!「児童虐待疑い全件通報 岐阜県が県警と情報共有」。高知、茨城、愛知ではすでに開始。大阪府知事も全件共有に向けて動き始めていると報道されております。知事の意志と覚悟の差が、子どもの命が救えるかどうかの差に結びついて行くものです。小池知事にメールをして、児童相談所と警視庁との虐待事案全件共有を求める要望(請願※)をしましょう!

知事あてメールフォームはこちら(メールフォームをクリック!)

※「日本国憲法第16条および請願法第3条に基づき、請願書(質問書)を提出いたします。同法第5条に則り、誠実なご処理・ご検討の上、各質問項目につき、ご回答をいただきますよう、請願いたします。」と一文添えてください。請願法に基づき皆様の思いが「公文書」となり回答をする義務が生じます。

都議会へ厚生委員会での審査再開を求めよう!

厚生委員会への後藤弁護士の陳情は「継続審査」となりました。これは、すなわち今期都議会任期満了2021年まで塩漬けになって結果廃案になるということです。さらに、この間同じ内容の陳情も審査されないということとなります。最大会派らの「今否決して世間の矢面に立ちたくない、このままフェイドアウト。人の噂も75日」という、こちらも論点ずらし、目くらましに他なりません!心ある議員、ことに最大会派「都民ファースト」が「動議」をかければ審査が再開できます。今一度審査をし全会一致で「一丸となって」採決して小池知事・福祉保健局(児童相談所)・警視庁に全件共有を都議会から求めることが可能です。

都議会へ厚生委員会の「児童虐待及び虐待死の根絶に関する陳情」(30第20号の1)の審査再開を求めてください!

都議会への申し入れはこちら

追伸:要望内容は「小池知事、児相と警視庁との虐待事案全件共有言及せず。」にある、かがやけTokyo意見書(案)や上田のblogをご参考にしてください。

お姐総括!

小池知事が東京都子ども家庭総合センターに行かれたのであれば、過去blogでも上田が指摘した、ひしめき合っている児相職員の事務室は御覧になられたと思いますので、対応を検討してくれることを切に希望いたします。

これは、同センターのカウンセリングルーム。

子どもの心象風景を探る箱庭療法。結愛ちゃんの最後の心象風景はどのようなものだったのか。食事も与えられず、多くのルールを課された痛ましすぎるノートを遺した結愛ちゃんのその時毎分毎秒の本来は慈しんでくれるはずの両親からうけた虐待の恐怖と悲しみを思えば、そして今も虐待にさらされているかもしれない、ひとりひとりの子どもの声なき声に耳を傾け、その心に寄り添えば、自ずと小池百合子知事は英断ができるはずです。お隣の埼玉県知事、さらに岐阜県知事までが、この東京都目黒区の事件を受けて児相と県警の虐待情報全件共有に踏み切ったのですから。

東京都の施策・政策は、耳障りだけは良いキャッチがはかれ知事に注目を集め、盛り立てるアクセサリーではないのです。こうした命を守る地味で地道で、そして時にリスクをとって英断をすることにこそ、華のお江戸1300万都市首長「東京都知事」の「本懐」があるのではないでしょうか?


編集部より:この記事は東京都議会議員、上田令子氏(江戸川区選出、かがやけ Tokyo)のブログ2018年6月14日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は上田氏の公式ブログ「お姐が行く!」をご覧ください。