最近、あやしい悪徳商法が増えてきた。カウンセリング、スピリチュアル、霊感商法、資格商法、ネットワークなど種類は多岐にわたる。いかにもネットビジネス初心者や情報弱者向けに案内が送られてきて怪しげなサイトに誘導される。そのサイトは桜の集まりだ。そして、あの手この手で資産を奪おうとするので自己防衛策が必要になる。
今回は、『高卒自衛官が実現した40代で資産2億円をつくる方法』(あさ出版)を紹介したい。著者は生方正(うぶかた・ただし)さん。高校卒業後、海上自衛隊入隊。写真員となる。撮影した数々の写真は、部内は元より、国内外の新聞、雑誌、TVに採用され、その功績により7度の表彰を受ける。節約の技術やお金と時間を無駄にしない実践的な方法は興味深い。昨今の投資ブームへの警鐘の意味をこめて本書を紹介したい。
財産を守る金庫活用法
マイナンバーが預金口座に適用されることが決まった平成27年以降、家庭用金庫の出荷台数は前年同期比90%増しとなっている。現金だけではなく書類などを含め、盗難、災害時にも金庫によって守られた例は多い。
「私が自衛隊に勤務し始めた頃は、保有資産も少なく、あるのは銀行に預けた預金程度でした。そのため、『お金は銀行に預けていれば、自宅が火事に遭って通帳が燃えたとしても再発行をしてもらえる。わざわざ金庫なんて持つ必要がない』と思っていました。しかし、保有する資産の種類が増えるにつれて気づいたのが、災害や盗難から守ってくれる金庫があると安心ということです。」(生方さん)
「金庫は容量が多ければ金庫自体の重量が重くなり、万が一泥棒に入られても持ち出しづらくなります。しかし、それに伴い、金庫本体の値段も高くなるばかりか、床に負担がかかるので、建物の強度に問題がないかなど、色々と考える必要があります。」(同)
結局、生方さんは、容量20リットル、重量約30キロ、価格は3万円程度の標準的な金庫を購入した。理由はつぎのとおりである。
「丈夫な金庫を選ばなくても、集合住宅に住んでいるので、その場で金庫を破壊されたら、相当大きな音が発生するはず。泥棒も隣近所に知られるリスクを取らないはずだと判断しました。次に考えたのは、金庫をそのまま運び出すことです。体を鍛えている人物であれば、30キロの物を移動させることは難しくありません。」(生方さん)
「対抗するために、100円硬貨50枚の束を40本=2000枚、金庫に敷き詰めることで、4.8グラム×50枚×40本=9.6キロの内容物で金庫自体を重くしました。置き場所は押入れの下の段にしたので、かがんだ状態でよほど力がないと動かすことはできません。さらに、ダンボールを使い金庫をカモフラージュしています。」(同)
金庫は「耐火金庫」と防犯を重視した「防盗金庫」がある。最近は磁気メディア保存に対応するため内部温度保証が明確にされている製品の人気が高い。生方さんは「金庫の重要性に気がついた人はすでに動いている。資産は自分で守らなければいけない」と主張する。
悪徳業者のオフ会やイベントは危険
悪徳業者が主催する、オフ会やイベントと称した交流会に参加するとかなり大変である。私の友人A(上場企業勤務、課長)は次のような勧誘をされた。
--ここから--
桜1号
「上場企業でもどうなるかわからないですかね。山一のようなこともありますから」
友人A
「山一?何年前の話だろうか(頭の中)」
桜2号
「私の知り合いは投資でお金を増やしてフェラーリを買いましたよ!!」
友人A
「てか、オレは車の免許ないんだけどな(頭の中)」
桜3号
「株やFXはリスクがあるから儲からないしね。これからはネットワークの時代!」
友人A
「ん?ネットワークのほうがリスクがあるのだが(頭の中)」
その後、1時間にわたり質問が許されない完全一方通行、双方向拒否のトークが繰り広げられる。交流会の最後にはラスボスが出現する。「○○」って知ってる??(ずん!)
--ここまで--
確実に儲かるものなど存在しない。確実に儲かるものがあった場合、それが一般に出回ることは理論的に考え難い。見ず知らずの第三者が美味しい情報に有りつけるなど考えないほうがいいだろう。そのためには自己防衛が必要になってくる。
ボールペン1本をも無駄にしない節約精神論、マニアックすぎるポイント活用術、効率の考え方、小銭を使って金庫の守る方法などなど。あらゆる面から資産を、蓄え、増やし、守るための方法が詰まった一冊、この機会にいかがだろうか?
尾藤克之
コラムニスト