大阪北部地震 改めて子どもにスマホを持たせる年齢について考える --- 勝沼 悠

寄稿

大阪府高槻市で震度6弱の地震があり、登校中の小学生が倒れてきたブロック塀の下敷きになって亡くなるという痛ましい事故がありました。学校のブロック塀に問題があったことが大きく報道されていますが、今回のこの地震で考えたのは子どものスマートフォンについてです。

以前は子どもにスマートフォンを持たせるのは小学校高学年から中学生くらいからと考えていましたが、今回の地震のニュースで私は子どもには小学校入低学年からスマホを持たせた方がいいのではないかと考えを改めました。さらにいえば、学校にスマホを持っていくべきではないかとも考えています。

今回の地震では緊急地震速報は間に合わなかったそうですが、子どもだけで歩いている登下校の際に緊急地震速報を受信して揺れに備えることができれば、危険に遭う可能性は下がります。地震だけでなく、不審者などの様々な危険においても110番や119番に電話できることはより危機を回避できる可能性は高まります。子どもの位置情報を把握できることも緊急時には大きな利点となるでしょう。

子どもがスマホを持つことによって危機を回避できる可能性の上昇は決して多くはないかもしれません。早くに子どもにスマホを与える悪影響を懸念する人も多いことでしょう。しかし、命に関わる危険の可能性はわずかでも下げるべきではないかと私は考えています。

私の案は荒唐無稽なものではありません。多くのメーカーが子ども用スマホを販売しています。月々の料金も1000円程度と良心的です。もちろん防犯ブザーアプリなどもあります(参照:「子どもにスマホ持たせるなら必須。高性能防犯ブザーにするアプリ」

今回の地震までは、私はスマホを子どもに持たすタイミングは小学校の高学年からと考えていました。ただし、これには一つ条件があります。それは親もそのスマホを自由にチェックできる状態にすることです。子どもは親にみせられないようなものはスマホに入れられません。メッセージのやり取りも待ち合わせの確認等事務的なものに限られます。SNSも親が見ても大丈夫なことしか書かないようにします。

そのような環境で補助輪付きの自転車に乗るようにスマホに慣れていき、中学卒業などのタイミングで完全に個人のスマホへと移行するというのが私の案です。現在の多くの子どもはあるタイミングでいきなり個人のスマホを持ちますが、それよりはスマホを持つ準備期間を設けた方が良いと考えています。小学校低学年から子どもにスマホを持たすという私の今回の案ももちろんこの準備期間など様々な工夫とセットとなります。

いざという時に緊急地震速報などの緊急連絡を受信でき、緊急の連絡もでき、位置情報を伝えることもできる。そんな危機対応に優れた道具を今の常識で判断して登下校中の子どもに持たさなくていいのでしょうか。常識やシステムを変えたり、その常識を変える後押しをする工夫が必要なのではないでしょうか。

勝沼 悠   専門健康心理士
桜美林大学大学院修了後、15年に渡りスクールカウンセラー、教育相談員など、教育現場や医療現場で心理職として働いています。