9年連続で人口減少、参議院の定数を増やす正当性とは

早川 忠孝

参院定数6増の自民改正案が可決された11日夜(NHKニュースより:編集部)

私は、いずれは衆議院と参議院を一つにする一院制を導入してもいいのではなかろうか、と思っているので、参議院の機能の充実強化を訴える方々の議論にはちょっと違和感を感じている。

まあ、現行憲法が二院制を採用しているので、既にあるものを簡単に廃止したり、粗末に扱ったりしてはいけないと思って、心ある参議院議員の皆さんが存分にその職責を果たされるようにそれなりにエールを送っているのだが、しかし、何がなんでも参議院の制度を今のままの状態で維持すべきだ、とまでは思わない。

今国会で、いよいよ参議院議員の定数を6増やす定数増法案が成立しそうである。 一票の格差是正という大義名分はあるが、人口が9年連続して減少しているという状況の中で、果たして大方の国民の理解が得られるだろうか。

選挙区が合区になり、参議院議員を選出できない県が出てくるから、その救済策としての定員増だということだが、参議院議員をあたかも都道府県の代表者のように見做しているところがこの法案の致命的な欠陥だろうと思う。

まあ、物事には本音と建前があり、国会議員は国民の代表者であって決して地域の利害の代弁者ではない、などという建前を述べても現職の国会議員の皆さんの心にはまったく響かないのだろうが、国会議員を選ぶ国民の立場からすれば、ずいぶん自分たちの都合だけを優先した身勝手な法案だということになりそうだ。

既に参議院を通過し、審議の舞台は衆議院に移っているが、自民党一強の現在の政治状況では、この法案が可決成立することは必至である。 野党が弱いと、こういう自分たちの都合だけを優先した身勝手な法案も何らの修正なく通過してしまう。 これで日本の民主主義が崩壊する、などとは騒がないが、なんだかなあ、という感は否めない。


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2018年7月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。