リベラル保守の政治を目指す

英国の政治家エドマンド・バーグの定義によれば、保守主義とは、「人間が不完全な存在であることを前提に、過去や現在の制度にこだわらず、歴史から学びつつ制度を少しずつ改革する」立場を言います。「この道しかない」という態度は保守主義者の最もきらうところです。保守政治家は熟議を重んじ、権力の行使には臆病なまでに慎重になるのです。

一方で、リベラルという言葉には、自由の他に、「寛容」という意味があります。価値観が違う人も、お互いにその立場を認め合う姿勢がリベラルです。激しい宗教戦争の後に、西欧で積み上げられた考え方であり、本質的に保守とリベラルとは同じ意味になります。

その意味で、私は「リベラル保守」の政治家を目指してきました。国民民主党も謙虚で穏健な「リベラル保守」の政党でありたいと努力しています。右にも左にもかたよらない中道を目指すために、迫力不足で認知度も支持率も低いままですが、愚直に進もうと考えています。

さて、1月から始まったこの国会の風景はどうだったでしょうか。

総理夫人が、税金で雇われている秘書官を通じて行政に口出しをする。その夫人を守るために総理大臣が、どう考えてもつじつまの合わない答弁を繰り返す。財務大臣は、部下のたび重なる不祥事に辞職もせず、言いたい放題の無責任。そして、過労死認定を不可能にする残業代ゼロ法案やカジノ法案の強行採決。

とどめは、消費税増税前の参議院議員定数6議席増法案の強行採決。沖縄の本土復帰時に議席を増やしてから今日まで、議席を増やしたことは一度もありませんでした。安倍総理は、消費税増税の条件として国会議員の定数削減を約束したはずです。

与党が三分の二の多数を占めているからといって、ここまで国民を愚弄する政治は許されません。野党の力不足を痛感します。
心が折れそうになり、座右のマックス・ヴエーバー「職業としての政治」を読み返す。

「政治とは、情熱と判断力の二つを駆使しながら、堅い板に力をこめてじわっじわっと穴をくり貫いていく作業である。」

「現実の世の中が―自分の立場からみて―どんなに愚かであり卑俗であっても、断じて挫けない人間。そういう人間だけが政治への『天職』を持つ。」

明日から、また、勇気を振り絞って街頭に立とうと思います。


編集部より:このブログは衆議院議員、岸本周平氏の公式ブログ、2018年7月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は、岸本氏のブログをご覧ください。