IR法案!附帯決議を取り付けた国民民主 矢田わか子先生の勇気

田中 紀子

昨日のブログ、結構周りの人に驚かれ、衝撃を与えています。
アゴラさんに掲載して頂きましたので、是非ご一読下さい。

世界のMICEはカジノ収益で支えていなかった!

ついに参議院 内閣委員会でIR法案が可決し、残るは本会議のみとなりました。
私としては、カジノ依存症対策が杜撰なまま通過していくのはしのびないですが、相当なスキャンダルでもでて来ない限り、今の与党は止められないですね。

そして昨日の参議院委員会も荒れに荒れて強行採決となりましたが、当然、数の論理で可決され、IR法案はついに内閣委員会を通過しました。

本日も本会議は荒れるでしょうけど、不信任案くらいしか手立てがない現在、通過してしまうことは目に見えています。私は、不信任案じゃなくて、「党議拘束を外させる決議」なんてあったらいいのになぁと、常々夢想しております。

さて、怒号飛び交う参議院内閣委員会で、法案に反対した国民民主党が、賛成に回った、与党及び維新と共に附帯決議を提出したことで、Twitter界隈では誹謗中傷が渦巻いています。

こういうの見てると、ホントむかっ腹が立ちますね。
じゃあ、パフォーマンスして玉砕する方が偉いって言うんですかね?
ハッキリ言ってね、あんなパフォーマンスは議員の自己顕示欲を満足させているにすぎず、現場じゃそんなもん1ミリも役にたちゃしません。むしろ私なんかは、ああいうの実にしらけるタイプです。
こっちは、イデオロギー闘争なんかやってる余裕ないですからね。

我々から見たら、7月6日に参議院本会議でIR法案が議事にあがってから、昨日、附帯決議を読みあげて下さった、国民民主党の矢田わか子先生の質問は、もうピカ一によかったです。

矢田わか子氏(参議院インターネット中継より:編集部)

あの時、ちょうどギャンブル依存症対策基本法が成立する日だったので、私、たまたま本会議を傍聴していたんです。そこで初めて矢田先生を拝見し「この先生、良い事言ってるな~」と思ったのですが、あとで大阪の仲間に聞いたところ、コテコテの大阪人で、なんとお父様がギャンブル依存症だったと、公言されているというじゃありませんか!

で大阪の仲間も「あの先生は、めっちゃいいと思う!」と発言していて、「やっぱり~!同じ家族だったか~どおりで実感がある!」と思いましたね。

大体我々が見てるとですね「この人はギャンブル依存症を分かってる」「この人は付焼刃のパフォーマー」と、ちょっと聞いただけで区別がつくんですよね。

皆さんは、徹底抗戦して、結局1ミリも進展なく「与党のおごりだ!」と、吠えて自己満足して、肩で風切って帰ってくる議員と、法案で反対したって、どうあがいても絶対に負け戦と分かっているなら、どんなに大恥をかいてののしられようとも、1ミリでもマシなことをやる!という議員と、どちらが真の勇気を持ち、国民のことを考えてくれている議員だと思いますか?私なら、絶対に後者の議員を選びます。

国民民主党の矢田わか子議員が、涙ぐみながら附帯決議を読みあげられた姿には、
胸打たれましたね。あの勇気に心から感謝しています。

7月19日:参議院内閣委員会

いや、私なら絶対あの場で泣いたりせず、野次ってくる議員に、「うるさい!何もやらないよりはマシだろ!」くらいは噛みついて言うと思いますが。

しかもこの附帯決議、苦心のあとが感じられ、すごく良い文章でした!
特に29条

「政府及び関係者地方公共団体は、治安対策その他の弊害防止対策及びカジノ行為を含むギャンブル等依存症対策について、立地地方公共団体のみならず、周辺地方公共団体においても、万全の対策を講ずること、このため、納付金や入場料による財源の活用を含め、財政的な措置の在り方について検討し、必要な措置を講ずること。」

常々、受益者負担が当たり前で、依存症対策に国民の税金を使うな!とか、誘致する自治体はいいが、その隣県は被害にあうだけでメリットなし!どうなるんだ?と、申し上げてまいりましたが、それらを盛り込んでくれている内容になってます。

附帯決議なんか何の役にもたたない!と、贅沢なことを言う人がいますけど、法案の一部に明記されるってすごいことですよ。我々なんかカジノ旋風が吹かなければ、全く顧みられることがなかったので、附帯だろうがなんだろうが、書かれたらそれにくらいついてやる!と思ってます。
とにかくゼロよりはマシ!なんですから。

だってここから先、海千山千の推進派と渡りあって行く時にですよ、
「附帯決議に書いてありましたよね!」と言うのと、
「○○先生が、大声はりあげて怒ってましたよね」
って言うのじゃ、効果がまるで違いますよね。

前者はしぶしぶでも何かはやらなきゃならないと思うでしょうし、後者は鼻で笑われるだけです。
附帯がついたことは本当に有難いです。

そして、みんな勘違いしていますけど、法案は作るまでが議員の役割であり、法案を生かすのは現場の役割ですよね。

附帯を生かすも殺すも、それは我々現場の責任です。
附帯決議が守られるよう、一過性じゃなく、一緒に戦ってくれる、良心ある議員の先生を見つけていかねばなりません。

注目浴びた時だけ、ギャンブル依存症者を思ってくれる議員じゃなく、本当にいつも助けてくれ、注目を浴びなくなっても、3年後の見直し時期には、きちんと招集をかけてくれるような議員はどなたなのか?
これからが我々の本当の勝負です。

発信力をあげ、一般の人達にも応援団になって頂き、根拠ある海外データを探し、エビデンスを出していく。
頑張らなくてはなりません。

せめて附帯を!と泥水飲んで下さった国民民主党 矢田わか子先生には心からの感謝を送りたいです。
矢田先生、誹謗中傷に負けないで下さい!

そして最近の国民民主党は、実は野党として一番野党の役割を心得ている、政策派が揃っているのではないか?と、見直しているところです。


編集部より:この記事は、公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表、田中紀子氏のブログ「in a family way」の2018年7月19日の記事を転載しました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「in a family way」をご覧ください。