「グローバル独占企業」がイノベーションを殺す

EU委員会は7月18日、グーグル社に43億4000万ユーロ(約5700億円)の制裁金を払うよう命じた。これはEU(ヨーロッパ連合)の制裁金としては史上最大だ。その理由は、グーグルが携帯端末用OS「アンドロイド」に自社製アプリを抱き合わせしているというものだが、これは1990年代のマイクロソフトに対する司法省の訴訟と似ている。

グーグルだけではなく、アップルもアマゾンもフェイスブックもグローバルな独占企業になり、まとめてGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)と呼ぶことも多い。こうした新しい独占企業が、グローバル資本主義を変えようとしている。

インターネットが生んだ独占・集中社会

90年代にインターネットが急速に普及したとき、それは従来の電話網とは違う自律・分散型のネットワークだった。それによって国家と大企業を中心とする20世紀型の社会が変わり、個人を中心とする自律・分散型の社会になると予想する人が多かった。

一時はそういう兆しも見えた。電話交換機で通信を独占した電話会社が衰退し、大型コンピュータを独占したIBMが経営危機に瀕し、携帯電話で個人がいつでも世界に情報を発信できるようになった。GAFAのうちアップルを除く3社は、90年代後半以降に創業した企業である。

しかし2004年に創業したフェイスブックを最後に、既存の企業を倒す「破壊的イノベーション」は消えた。新しい成長企業が、大企業に育つ前に買収されたからだ。アンドロイドも、携帯用OSを開発していた会社をグーグルが買収したものだ。ITの世界では、ゼロから研究開発するより有望な企業を買収したほうが速い。

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