暑い夏、食べごろの魚が増える。ハモの価格が一気に下がり、アユ、スズキ、シマアジが美味しい。刺身なら、カワハギが主役に躍り出る時期でもある。見た目は熱帯魚で不細工だがだまされたと思って食べてもらいたい。肝は醤油にといて、薬味と一緒に食すか、刺身で巻くのもいい。食べる身の量は少ないがこれまた絶品である。
「魚を食べるなら焼き魚より刺身で!これで脂肪がたまりにくくなります」。そう答えるのは、管理栄養士、健康運動指導士として活動している、菊池真由子さん。今回は13万部を突破して絶賛話題中の『図解 食べても食べても太らない法』(三笠書房)を紹介したい。
魚は「焼く」より「刺身」にすべき
刺身は、低カロリーで高タンパク質。食べても太らない料理の代表格。さらに、魚のタンパク質は肉類と同じく良質なものが多く、優秀なタンパク質源でもある。
「タンパク質には食後に体温を上げてカロリーを燃やす働きがあります。食べることで、やせることができるのです。肉類はタンパク質と一緒に多くの脂肪を食べてしまうデメリットがあります。その点、魚は脂肪の量が少ないので食べても太りません。むしろ、魚の脂肪は肉の脂肪と違って、積極的に摂取するべきものです。」(菊池さん)
「なぜなら、魚の脂には血液をサラサラにする成分であるEPAやDHA が豊富だから。この2つの成分は血液中の中性脂肪を下げる働きもあり、高血圧を予防·改善するとともに、動脈硬化や脳梗塞、心筋梗塞などを防いでくれます。高血圧、脂質異常症などの生活習慣病は、肥満が原因で起こりやすくなります。」(同)
EPAやDHAは体を生活習慣病から守る働きがある。サプリメントでも大人気だが、摂取することで、血管の詰まりができないように予防し、できてしまった血管の詰まりを溶かして血液の流れをスムーズにする。実は筆者も愛用している。
「EPAやDHAは、青魚に豊富ですが、タイやタチウオのような白身魚などにも含まれています。厚生労働省は、EPAとDHAの摂取を合わせて1日に1 g以上とることをすすめています。サバの半身で1.8 g、アジ1尾469m g、タチウオー切れ2.7 g、タイ1切れ1.2 gと、魚の刺身であればとても簡単にとることができます。」(菊池さん)
「では、なぜ魚は刺身で食べるに限るのでしょうか?刺身は、魚そのもののカロリーしかなく、料理方法として最も低カロリーです。EPAとDHAをたっぷり含んだ脂を逃すことなく食べることができるのも見逃せません。」(同)
参考までに、焼き魚よりも煮魚がいいようだ。焼くことで、EPAやDHAは2割ほど溶け出してしまうが、煮魚であれば脂が溶け出した煮汁も一緒に食べることができる。
食べながら脂肪を落とす
「刺身のおすすめは、1位アジ、2位カツオのたたき、3位がマグロの中トロです。EPAとDHAは魚の脂、脂肪分なので、豊富になるとカロリーが増えてしまいます。ブリは1切れでEPAとDHAが2.1gとれますが、206kcalとアジ1尾の2.4倍もカロリーがあります。アジは低カロリーで、簡単にEPAとDHAがとれるところが魅力です。」(菊池さん)
「アジはショウガと一緒に食べるのがポイント。相性もバッチリですし、ジンゲロンは、脂肪を燃やす働きを持っています。カツオのたたきは、薬味にニンニクを使うのが決め手。豊富なビタミンB群を効率よく使ってくれます。3位のマグロの中トロは青魚以外でEPAとDHAが多い部分です。魚が苦手な人でも食べやすいのが特徴です。」(同)
なお、紹介した菊池さんは、8月9日(木)放送の「主治医が見つかる診療所」(TV東京)に出演する。「食べながら脂肪を落とす」がテーマで、男性芸能人が実演をするようだ。食べても太りたくない人には必見かも知れない。
尾藤克之
コラムニスト