最近、日本では日大の内田監督、レスリングの栄監督、ボクシング連盟の山根会長といい、パワハラ系のトラブルが糾弾された強面系のオジサンの入院がブームになっています。
こういった報道を見て分かったと思いますが、怖そうに見えるパワハラ系のオジサンというのは、本当は恐れるべき相手ではないのです。もし、パワハラで悩んでいる人がいたら、以下の文章を読んで、ちょっと明るい気分になって下さい。
さて、普段、パワハラ系の怖いオジサマたちは、『体育会系コミニケーション』という魔法の言葉を言い訳に、非常識な振る舞いをしています。実は、これは自分のメンタルを弱くする努力のような事をしているに等しいのです。
体育会系コミニケーションの最大の特徴は、上から下への指示と支配は絶対的で、かつ、上から命令は曖昧で最小限の指示のみという事です。そのため、体育会コミュニケーションのまかり通っている組織は、下の立場の人の忖度と顔色伺いだけで回っているような形になります。
これは一見、トップダウン型の組織に見えます。しかし、そこに真のリーダーシップはありません。なぜなら、上は、あえて『曖昧な命令』を下に出すことで、下の手柄を「指示通りによくやった!」と上が吸い上げ、下の失敗を「勝手なマネをするからだ!」と下に押し付けるだけで組織を回しているからです。
また、こういうパワハラ系のオジサマは、通常、イエスマンを周りに揃えています。そして、気に入らない事があれば、いわゆる『体育会系コミュニケーション』で、周りをドヤして自分の気にいるように生きています。こうやって、肝心な事を避けて、大人なら我慢すべき、自分のどーでも良い感情の起伏に正直に生きていては、忍耐力などのメンタルが弱まるのも当たり前です。
だから、ほんの少し、自分に本格的に刃が向くような事態が起きると、一般の人の何倍も、メンタルが傷ついてしまうのです。そのために、パワハラ系のオジサマが、直接世間から叩かれるような問題を起こすと、入院してしまう人が多いのです。
この現象は、今後も、続くと思いますから、私はこの現象を「パワハラ逃病(とうびょう)」と名前を付けて呼んでいます。理由は、パワハラ系のオジサマが、パワハラという真の病と向き合わずに逃げている事と、病院に逃げるという意味を同時に表せる気がしたからです。
というわけで、もしパワハラで悩んでいる人がいたら、そのパワハラ上司は思ったほどのメンタリティは持ち得ていないと心得て下さい。だからと言って、正面から戦う事を推奨するわけではありません。とにかく、相手が弱いと気づく事が重要なのです。それだけで、気持ちが楽になる人いるでしょうし、怯えによって冷静な判断ができなくなっている状態から開放される可能性も高まるはずです。
実際、私も無法地帯のような現場も存在するテレビ業界で働いていますから、困ったパワハラ上司に出くわすことも多々あります。ですが、相手のパワハラに怯えず、動じなかっただけで、対応が変わったという経験を何度もしています。
さて、2018年から目立ち始めた『パワハラ逃病』ですが、本格的なブームはこれからだと思います。まさか、自分は大丈夫だろうと思っている、メンタルの弱い体育会系のオジサマは、今すぐ態度を改めないと、近い将来、痛い目を見る可能性が高いですよ!!!
※このブログの著者プロフィール
渡辺龍太 (放送作家 会話と文章の専門家)
ブログ:http://kaiwaup.com
Twitter: https://twitter.com/wr_ryota
著書:『1秒で気のきいた一言が出るハリウッド流すごい会話術』(ダイヤモンド社)
連載:『ハリウッド流すごい会話術』(ダイヤモンド・オンライン)