手に入れるためには、まず「手放すこと」

写真AC:編集部

事業をやみくもに拡大するだけでは、企業は持続的な成長を続けることはできません。むしろ成長したければ、いかに事業の縮小・撤退を迅速にしていくかを考えることの方が重要とも言えるのです。

例えば、フリーマーケットアプリで急成長しているメルカリは、メルペイのような新規事業にリソースを集中させる一方で、利用者が伸び悩む4つのサービスから撤退すると発表しました。LINEも決済事業に注力し、格安スマホ事業やタクシー配車サービスなどから撤退するようです。

あるいは「結果にコミットする」という健康事業で知られるRIZAPグループも、事業の再構築に乗り出しました。元カルビー会長の松本晃氏を最高執行責任者(COO)に迎え、買収した企業の中で本業とのシナジーの低い、低収益事業の見直しを行うとみられます。

このように既存の事業を敢えて手放すことで、経営資源の余力を高め、そのリソースを使ってより高い収益性が見込める事業に集中していく。事業を拡大するだけでは、一定の事業規模になると、むしろ経営資源が分散し、経営が複雑化して決断のスピードが落ち、企業全体としてマイナスになってしまうのです。

これは、企業だけではなく、個人でも同じだと思います。

欲張りに何でも自分のものにしなければ気が済まない人は、手放すことが出来ない人です。自分が成長して新しいものを次々と取り入れるフェーズにいる時は、それでも良いでしょうが、人間のキャパシティには限界があります。一定の年齢やレベルに到達すると、それ以上何かをやろうとすると、今までのしがらみややってきたことが、足かせになったりするのです。

自分のキャパシティに余裕を作れれば、そこに新しいチャンスが入るスペースができます。お腹一杯の人は、もうそれ以上食べることができないのと同じことです。

だから、もし何かを手に入れたければ、まず今持っているものから何かを手放す勇気を持つことです。逆にいえば、既得権益にしがみついて手放すことができない人は、新しいものを手に入れられず、次のステージへの成長のチャンスは得られないのです。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2018年8月14日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。