「退職までに一体いくら貯めればいいのか!」。1000兆円を超える国の借金問題をはじめ、増税、年金不安、期待を持てない昇給や退職金などを背景に、「老後不安」がただよっている。今後も、年金は減額になるだろうし、どのくらいの蓄えを準備しておく必要があるのか。正解はないものの、一定のシミュレーションはしておきたい。
今回は、『まだ間に合う 老後資金4000万円をつくる! お金の貯め方・増やし方』(明日香出版社)を紹介したい。著者は、ファイナンシャルプランナー(CFP(R)、1級FP技能士)、社労士として活動している、川部紀子さん。「損せずに得するコンビニの活用方法」について聞いた。
コンビニで損しない方法がある
――コンビニは。便利な反面、定価で販売しているものがとても多いので、何もかもをコンビニで済まそうとすると高く付く可能性がある。ではどうすべきか?
「食料や日用品はスーパーやドラッグストアも組み合わせて買い物したほうが単価は下がるでしょう。そんなことは分かっているけど、今の仕事やプライベートの環境を考えると、どうしてもコンビニは外せないという人も多いと思います。その場合は、少しでも損しない方法と少しでも得する方法を意識するしかありません。」(川部さん)
「コンビニのATMを使ってお金を引き出している人も少なくないでしょう。その際の手数料を気にしているでしょうか?1回の手数料額は『たったの108円』かもしれません。ここでは、この108円がもったいないとか、その積み重ねでいくらになるなんて話をしたいのではありません。その心がけがNGだと指摘したいのです。」(同)
――たしかに、その調子で、貯まらないメンタル、無駄使いしがちなメンタルがじりじり育まれていってしまう。結果的には貯まらない行動が繰り返されてしまう。
「実際に、貯まっていない方の通帳を見てみると、ATM手数料でいったい何行が使われたのだろうというほどの回数を支払っていることがわかります。当然、金額も数千円、数万円になります。コンビニはもちろん、コンビニATMに関連する会社、今後は銀行にとっても、これらの手数料が重要な収入源となっていきます。」(川部さん)
「今後は、手数料は上がっていくことが考えられます。そこで手数料がかからないサービスがないか調べてみましょう。著者は、コンビニでは手数料無料のネット銀行のキャッシュカードしか使いません。」(同)
――各銀行とも支店統廃合が進んでいる。気づくとお金をおろす場所はコンビニしかないという時代がやってくる。現在、多くの銀行では、月間の取引や残高に応じた優遇措置をおこなっている。例えば、メインバンクであれば給料の引き出しを無償にしている銀行は多い。その他、ステージ判定は銀行によって異なるが確認しておきたい。
コンビニで得する方法がある
「支払いの際には、『nanaco』『Ponta』『Tポイント』などの共通ポイントをもらうこと。かつ、クレジットカードか電子マネーで支払うことをおすすめします。いちばん損なのは、共通ポイントをもらわず現金で支払うこと。コンビニは定価で高めの値段設定ですからこうして自カで値引き効果を狙うしか安くなる方法はありません。」(川部さん)
「コンビニでの買い物は1000円以下が多く、1回につき付与される共通ポイントは通常は3~4ポイントのことが多いです。ただし、期間や商品によって、ポイント○倍などのキャンペーンも多く、無意識でも貯まっていることがあります。これから消費税も上がるので、こうしたポイントはバカにできるものではありません。」(同)
――昨年、イケダハヤト氏の「コンビニで現金使う人ってバカなのかな……。」が話題になった。立場上、『バカ』という表現を使ったものと考えられるが、現金派へのツッコミも含めて理解できた。少なくとも、利用金額の把握という点では、現金の方が把握しづらい。明細はクレジットカードや電子マネーのサイトで確認できるからである。
「コンビニ現金派を『バカ』と表現をする方がいるほどです。現金派の反論を読んでみましたが、『余計なお世話だ』『うるさい』『払えば何でもいいだろ』『少額なので』『面倒だ』などの意見がありました。感情的で肯定はできませんでした。」(川部さん)
――これからの、年金減額、増税を控えた時代をどう賢く生きるかはあなた次第でもある。日常的なお金のつかい方を含め、賢いマネープランを考えていただきたい。
尾藤克之
コラムニスト