不動産投資ブームが到来して何年が経つだろうか。最近は、高家賃のデザイナーズアパートに注目が集まっている。間取りが均一なハウスメーカーの物件や中古の築古アパートではなく、施工費用が高いと言われる新築デザイナーズ物件がなぜ人気なのか。そこには、高家賃でも入居希望者が後を絶たないノウハウが存在した。
今回は、『高家賃でも空室ゼロ!これからの不動産投資は地方の新築デザイナーズアパート』(秀和システム)を紹介したい。著者は、ファイナンシャルプランナー、賃貸不動産経営管理士の、大城幸重さん。2017年現在、東京、京都、北関東、海外などの国内外に不動産、9棟35室、太陽光発電所10基を所有する。
ちょっとした手土産を用意しよう
――大城さんは、仲介会社へ出向く際や、挨拶回りの際には、ちょっとした手土産を用意している。名刺、物件アピールの書類と同等に欠かせないのが手土産だそうだ。
「手土産と言っても、そんなに高額なものである必要はありません。女性が多い職場であれば、ケーキやシュークリームなどを持っていくと喜ばれます。要は、気遣いなのです。露骨なひいきはしないでしょうが、同じような条件の物件があったとして、『普段から自分を気遣ってくれる付き合いやすい大家の物件』と『付き合いにくい大家の物件』であれば、前者の方に積極的に客を付けたくなるのが人情でしょう。」(大城さん)
「仕事上の関係とは言え、こういった、お互いに良い関係を築くための細かい気遣いは大切だと、私は思っています。そういった気遣いの延長として、お世話になった営業さんを招いて食事会をやることもあります。地方の大規模投資家さんですと、不動産会社の社員全員を招待して接待することもあるそうです。」(同)
――余裕のある大家さんは、送迎の手配をするようである。地方は、中央(都心)と比較して車を利用する人が圧倒的に多い。ところがお酒を飲むと運転できない。たしかに、ここまでやれば、その大家さんの認知度はがアップすることは間違いない。
「私の場合は、少人数をお招きして会食することが多いです。お世話になっている営業さんと、上司の方、さらにエース級の営業さんをお招きするようにしています。また、女性の大家さんの場合は、女性の多い管理会社、または客付け会社を使っていることが多いので、女性が好きそうなお店に接待しているケースもあります。接待のやり方はいろいろありますが、身の丈に合った方法でやればいいと思います。」(大城さん)
筆者ならこんな手土産を持参する
皆さんは、手土産の定番と聞いたら何を思い浮かべるだろうか。老舗で有名店、宮内庁御用達のお菓子がいい。いやいや、虎屋の羊羹、塩瀬総本家の本饅頭、風月堂のマロングラッセ、亀屋万年堂のナボナ、文明堂のカステラ、浅草梅園の大福などもある。確かに日本を代表するお菓子として有名であることは間違いない。
しかし、これらのお菓子は定番ではあるが気軽ではない。場面としては、その場で配ったり、御茶請けとして振舞われることを想定したほうがいい。ところが、高級お菓子はカジュアルには振舞いにくいもの。だったら、とりわけ若い女性社員に好まれるお菓子のほうがハズレはないと考えたほうが無難だろう。
筆者はアポイントで訪問する際には、若い女性に受けしそうなその時期に流行っているスイーツを選ぶようにしている。開店と同時に長者の列が出来て10分で完売してしまう、チーズケーキ、ロールケーキなどは鉄板である。季節が夏以外であれば、定番のマカロン、ドーナツ、ショコラなど、話題のスイーツも間違いなく喜ばれる。
参考までに、筆者はスイーツもお煎餅も大好きだが、最近はシュークリームにはまっている(キッパリ)。コパン(神楽坂/喫茶店)の生シューがさっぱりしておすすめである。テイクアウト可能かはわからないのでお調べいただきたい。
さて、お土産のポイントは、食する場面を想定しておくこと。社内で振舞うのか、ご自宅のお土産用か、行きつけの飲み屋に持参するのか。もし、迷った場合は煎餅が無難である。日本の煎餅消費量は、1位栃木県、2位茨城県、3位千葉県、4位埼玉県、関東と東北地区で7割を占有する。関東なら煎餅を持参して嫌がられることはない。
本書は、アパート経営の基本を網羅的に理解できる一冊といえる。素朴な疑問を感じたら、まずこの本を読んでもらいたい。アパート経営の三方良し「貸し手よし、借り手よし、世間よし」の本質が理解できる。あなたも大家さんになれるかも知れない。
尾藤克之
コラムニスト