経営者や政治家に求められているもの?それは声である!

尾藤 克之

画像は書籍書影(筆者撮影)

「声の通りが悪い」「滑舌がよくない」「自分の声が嫌い」など、自分の声に悩んでいる人は少なくない。私たちは、生まれてきてから育った環境で発声や話し方を身につけてきているが専門家に学んだことがない。それなら、「声」「話し方」に問題を抱えるビジネスパーソンの指導を実施している「プロ」に聞いてみよう。

今回は『「話し方」に自信がもてる1分間声トレ』(ダイヤモンド社)を紹介したい。著者は、秋竹朋子さん、「声」「話し方」に問題を抱えるビジネスパーソンの指導を実施している。主なメディア出演としては、「ニュースウオッチ9」(NHK)、「スッキリ!!」(日本テレビ)、「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)ほか多数の実績ある。

経営者や政治家に求められているもの

――リーダーシップや説得力をもたらすために「声」が重要視されている。政治家や経営者、ビジネスパーソンはいま「声」を鍛えることが求められている。

「たいしたことを言っていないのに、妙に説得力があると錯覚してしまうのは『声』がいいからです。良いことを言っているのに、伝わらないのは『声』の問題です。性格や習慣化された仕事の進め方は簡単に変えられませんが、声は簡単に変えられます。声が変わるだけで、仕事の成果が変わることが実証されているからです。」(秋竹さん)

「それは『声が変わるだけで、仕事の成果が上がる』ことを意味しています。プレゼン、スピーチ、電話応対、営業、接客など、ビジネスの現場では人と人とのコミュニケーションがっきもの。そのコミュニケーションの中心となるのが、声を使った対話です。できる人は『声』が最強のビジネススキルだということを知っています。」(同)

――あなたは「声」の問題で機会を逸しているとしたらどう思うか。秋竹さんは、声によって仕事上のミスや誤解を招いていることに気づいていないことが多いこと。反対に、声を磨いたことで成功した人たちもいると解説する。

「印象が薄い、感じが悪い、暗い、聞き取りにくい、早口、という問題を抱えて私のスクールに来る人の多くは、それらのことを他人に指摘されています。電話で伝言をお願いしたのに、間違って伝わり、相手に迷惑をかけてしまったとか、『はい?』と聞き返されて嫌な気持ちになったなどの経験、ありませんか?」(秋竹さん)

「声が原因でトラブルにつなかっているケースは、意外にあるのです。いい声で話せば、話す言葉に説得力が増し、好感度が上がったり、人から信頼されたりと効果が得られます。声が仕事の成果を左右するのは、もはや当たり前のことなのです。」(同)

自分の声は変えることができる

――「声総研」が実施した、20代から50代の働く男女を対象とするアンケート調査で、興味深い結果が明らかになった。これは、自分の声に自信があって、「声をほめられたことがある」「声の通りがよいほうだと思う」などの要素を分析集計したものになる。

「『自身の声が仕事で有利に働いたと感じたことがある』の割合では、いい声をした人のほうが、上の役職に就きやすく、また仕事もうまくいくということがデータから明らかになったのです。役職が上がれば給料も上がりやすくなるわけですから、『声の良さと年収は比例する』傾向があると言えるかも知れません。」(秋竹さん)

――ほとんどの方が、「声は生まれつきだから変えられない」と思い込んでいる。しかし、これは大きな問違いのようだ。ピアノを弾ける人や野球が上手な人が、生まれつき上手だったわけではない。ピアノを弾きたいと思ったら、最初はピアノの先生に習うように、声について悩みがあれば専門家に習うことが得策である。

「このような『声』の効能に気づいている人は、徐々に増えています。私の指導を受けた人のなかには、東レ経営研究所特別顧問の佐々木常夫さん、リブセンス代表取締役社長の村上太一さんなど、各業界のトップの方も多くいます。」(秋竹さん)

――魅力的な声はビジネスを大きく深化させる可能性がある。声の効能を活かすことができればアウトプットが変わるかも知れない。まずは、自分の声としっかり向き合ってみてはいかがだろうか。声を鍛えることであなたの評価が変わるかも知れない。

尾藤克之
コラムニスト