ロボットで公務員の仕事がなくなる!?つくば市の実験は「役所」を変えるか

こんにちは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。

●宇宙飛行士は、宇宙にいる時に選挙で投票できるのか?JAXA有するつくば市、日本初となる「ネット投票」に挑戦中

昨日のネット投票の記事に引き続き、今日もつくば市での視察についてです。

実は少し前にもつくば市発のニュースが、政治・行政界隈では話題になっておりました。それが日本初となる自治体としてのRPAの導入です。

行政の単純業務、自動代行ソフトで8割減 茨城・つくば(朝日新聞)

RAPとはRobotics Process Automationの略称で、日本語訳すると「ロボットを使った業務プロセスの自動化」です。

ロボットといっても、言葉から想像するドラえもんのようないわゆる「ロボット」ではなく、コンピューターの中で作動するソフトウェアのロボットです。新聞記事では自動代行ソフトと略されていますね。

行政業務の中には、住所や納税金額を大量に管理するなどの「単純作業」が膨大に発生しています。

どうでも良いことに貴重な人手(しかも往々にして、ポテンシャルの高い若手人材)が取られていて、肝心な市民サービスやクリエイティブ業務にマンパワーが足りないというのは、どこの自治体でも直面している問題ではないでしょうか。

しかしながら、エクセルなどの表計算ソフトにひたすら入力・整理していくような作業は、もはや技術的にはコンピューターが代行することができます

その具体的なテクノロジーこそが、RPAです。つくば市が今回、NTTデータなどと実証実験しているこのシステムでは、プログラミングなどの特別な知識は必要ありません。

プログラムの画面上で、ロボットに「やるべきこと」を順番通りに指示・入力していく。例えば膨大にエクセルに入力されたデータを項目ごとに整理していくような作業ですと、こんな感じであっという間に終わります。


https://otokitashun.com/wp-content/uploads/NTU2NTIyMzAyLjg3NzEwMC5tcDQ.mp4

20秒程度の動画ですので、ぜひ御覧ください。思わず「ほほぉ…!」と声が出てしまいました。

実際につくば市がRPAの実証実験をした部署では、どの作業も軒並み8割近くの時間が削減されたそうです。

つくば市は今回の研究結果を踏まえて本格導入をする予定となっていますが、一つの部署で年間1,432時間もの業務時間が削減されると見込まれています。

こうした改革事例を示すと、

「体の良いリストラだ!雇用を切り捨てるのか!」
「ロボットごときに我々の業務はできない!」

という批判が出てきて、現代のラッダイト運動が巻き起こってしまいがちなのですが、そうではなくてこの削減時間分を市民サービス向上のための業務に割り当てるのだと考えれば、非常に前向きな成果が期待できるのではないでしょうか。

※ラッダイト運動
産業革命期に、自分たちの雇用が機会に奪われると心配した労働者たちが起こした機械打ち壊し運動。

なおつくば市はこうした新事業については、すべて民間企業との「共同研究」という形を取り、予算(税金)を使わないで成果を出しています

予算を組んで先進的な事例を行うのは、容易なことではありません。税金を使う事業では明確な「成果」が求められますし、実績のない新テクノロジーでそれを約束することは困難です(なので行政は「前例踏襲主義」になるわけですが…)。

また予算を承認する議会に対する説明責任が生じ、やはり前例のないことで議会承認を通すのは極めてハードルが高いと言えます。

そこでつくば市は、実績を積みたい民間企業に「場」と「機会」を提供することでコラボし、費用を一切使わないで共同研究という形を取ることで、これらの障壁を乗り越えることを可能にしました。

行政と何かをやりたい、自分たちの技術を売り込みたいと考えている民間企業は非常に多くありますから、これはまさにこれからの地方自治体にとってwin-winなやり方です。

予算がない・前例がないものはやりづらい・議会承認が取れないというジレンマで悩んでいる他の自治体にとっても、こうした「つくば方式」は大いに参考になるのではないでしょうか。

今回、つくば市がRPAで結果を出した市民税課・市民窓口課などの業務は、どの自治体も共通して持っている業務です。

このRPAを全国の自治体で次々に導入することによって、セーブできるコストは計り知れないものになります。

「でもロボットって、お高いんでしょう…?」

ところがなんと!!(誰?)

今回つくば市が使用したRPAは、仕組みが組めるコンピューターで一台90万、組まれた作業だけするものなら一台25万円と、削減できる業務量を考えればかなりリーズナブルな費用ではないでしょうか。

なおつくば市では、RPAを適用する「単純業務」を洗い出すために、課単位ではなく職員全員にアンケート・ヒアリングを行ったとのこと。

単純作業に従事するには課長などの管理職クラスではなく若手なので、取りまとめさせるのではなく直接ヒアリングして洗い出すというのは合理的なやり方ですね。

おそらくこうした業務効率化は一部職員から反発もあり、単に導入調査を指示するだけでは「そんなものが使える仕事は我が部署にはありません!」となってしまうので、入念な準備を重ねる必要があります。

そしてもちろん、このRPAは基礎自治体だけでなく、広域自治体である東京都の業務にも利用できる分野が多数あると思います。

RPAについてはつくば市の本格導入結果に注視するとともに、私もさらに研究を続け、東京都でも実験的導入が行われるよう提案していきたいと思います。

こうしたつくば市の先進的な取り組みを五十嵐市長とともに牽引するのが、なんと若干27歳の毛塚副市長(写真中央)。

●「つくば市をアジャイル行政に」——26歳財務省官僚がつくば副市長に転身した理由

年齢というのがすべてではありませんが、やはり「挑戦」をする自治体にはこうした有意な人材がいるのだなあと痛感を致しました。

様々な取り組みをご説明をいただいた五十嵐市長、毛塚副市長、つくば市役所の皆さま、本当にありがとうございました!

それでは、また明日。


編集部より:この記事は東京都議会議員、音喜多駿氏(北区選出、かがやけ Tokyo)のブログ2018年8月21日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。