AI社会、大歓迎ですけど!皆さんはいかが?

尾藤 克之

画像は筆者撮影による

新しいモノやサービスが驚くようなスピードで生まれ、そして消えていく。そんな不安定な世の中で、私たちに必要なことは何か。変化の激しいこの時代を生きていくために、私たちがやるべきこと。それは「言いなりの人生を卒業すること」だった。

今回は、『言いなりの人生は”いますぐ”やめなさい。』(きずな出版)を紹介したい。著者は、岡崎かつひろさん。前作の、『自分を安売りするのは〝いますぐ″やめなさい。』(きずな出版)につづく第2弾になる。

仕事が自動化される未来

私たちは、変化が大きい社会を生きている。数年前まで当たり前だったものが、すでに過去の産物となるほどに変化のスピードは増している。

「面白いコンビニの話を聞きました。その名も『Amazon Go(アマゾン・ゴー)』。名前の通りAmazonが出したコンビニエンスストアです。アメリカのシアトルに1号店が出ています。何が面白いかというと、『レジ係がいない』ということです。日本でもセルフレジを導入するコンビニが出てきていますが、そんなレベルではありません。」(岡崎さん)

「『完全無人』なのです。顧客が商品を手に取ると、その顧客のアマゾンアカウントのカート内に自動で商品が入り、店の出口を通過すると自動で決済されるという仕組み。人件費が削減され、安く購入できるのは顧客にとっては嬉しい話なのですが、同時にこれは労働者にとっては脅威と言っていいでしょう。」(同)

これからの世の中はレジ係が不要になっていくということを意味している。しかし、これはいまに始まったことではない。筆者が子供の頃、駅には切符を切る駅員がいたが、いまは自動改札があたり前になっている。高速道路の料金所はETCが増え、ガソリンスタンドも、無人の店舗が増加している。

「私のオフィスは東京の汐留にありますが、近くにある有名ホテルのフロント前にはロボットを設置して受付の一部を難なくこなしています。つまり、AIやロボティクスが発展していく今後の世の中は、単純労働や言われたことをやる程度の仕事は、ほとんどロボットに代行されていってしまうということです。」(岡崎さん)

「オックスフォード大学のオズボーン氏が、2014年に『雇用の未来-コンピューター化によって仕事は失われるのか』という有名な論文を書いています。今後、10~20年程度で、米国の総雇用者の約47 %の仕事が自動化されると論じています。」(同)

この論文は、「Frey and Osborne(2013)“THE FUTURE OF EMPLOYMENT: How Susceptible are Jobs to Computerisation?“」というタイトルで、オックスフォード大学の研究所にアップされている。ご関心のある方は、一読をおすすめしたい。

あなたの仕事は今後もありつづけるか

単純作業や肉体労働しかしていないとすれば、ほぼ100%の確率でその仕事はなくなっているかも知れない。経営者からすれば、安くて確実、不平不満を言わないロボットの方が便利ということになる。では、この現実をどのように理解するか。

「これは不幸なことでしょうか?私は、そうは思いません。人間が単純労働から解放され、よりクリエイティブな仕事をするチャンスだからです。誰もが自己実現のために働いていい社会が来るのだとしたら、ワクワクしませんか?ただし当然、問題もあります。思ったよりも早いタイミングで訪れようとしていることです。」(岡崎さん)

「『Amazon Go』のような仕組みが日本で流行りだすのも、そう遠くない未来だと私は思っています。高級ホテル以外のホテルの受付は、ほぼなくなっていくでしょう。『喉が渇いてから井戸を掘っても遅い』というように、すでに来るとわかっている未来に合わせて、困ってから準備したのでは間に合いません。」(同)

岡崎さんは、準備の必要性を強調する。これからの時代に必要とされる「人財」とは。「求められる人物像」とはなにか?

「いままでは人と同じであることに価値があった時代が、これからは人とは変わっていることに価値がある時代になっていくのです。『自ら主体的に動き』『新しいアイデアを創造し』『それを実行できる人』。この要件が求められてきます。」(岡崎さん)

新しいモノやサービスが驚くようなスピードで生まれ、そして消えていく。そんな不安定な世の中で、これからを生きる私たちに必要なこと。いま考えてみたい。

尾藤克之
コラムニスト