ビジネス心理学をご存知だろうか。よく知られているものに、アサーティブ、フレーミング、バーナム効果、コールドリーディングなどがある。心理学は「人問心理を解き明かすもの」だが、知っているだけでは役にたたない。大事な場面で、「使える」という実践的なレベルにまで高めておかないと、中途半端な知識で終わってしまう。
今回は『モテすぎて中毒になる男女の心理学』(すばる舎)を紹介したい。著者は、神岡真司さん、累計140万部を超すビジネス心理学の専門家として知られている。主要著書としては、30万部ベストセラー『ヤバい心理学』(日文新書)がある。
出世は「上司に好かれているか」で決まる
「将来出世しそうな男性」「よい夫になりそうな男性」は果たして誰か?また、どのように見分けるのか?ここに一つの方法がある。
「答えは簡単です。上司に受けがよい部下であるかどうかで、出世は決まるからです。仕事ができても、成績優秀でも、上司に好かれていないと上司は引き上げません。上司に生意気に思われたり、上司よりも仕事ができて、上司から内心脅威に思われている部下は、けっして出世することはないからです。上司の信頼感が肝です。」(神岡さん)
「上司と仲がよいかどうかは、いろいろな上司とのコンタクトを見ていればわかります。いろいろな上司と、アレコレ会話する頻度が多い部下ほど、上司の覚えがめでたいので、いつの問にか出世しているケースが多いのです。上司と距離をおいて、もっぱら同僚や後輩とつるんで仲のよい部下では、出世の見込みはありません。」(同)
神岡さんは、権力を煙たかっているようでは、出世も遠くと指摘する。出世したいなら、後輩や同僚に人望があっても、ダメなのである。
「上昇志向がある部下であるほど、権力者に近づく習性があります。ただし、上司にかわいがられる部下が、将来妻にとっての『よい夫』になるかどうかはわかりません。出世が第一で、家庭は二の次になる傾向が強いからです。これは当然ですが、『亭主元気で留守がいい』という状況を望むなら、それでもよいでしょう。」(神岡さん)
「会社で出世を望む男性は、たとえ夫婦仲が悪くても、会社での体裁を考え離婚しない傾向もあります。仮面夫婦で生きていくぶんには、現金収入さえもたらしてくれるのですから、まずまずともいえるでしょう。出世もそこそこで、家庭のこともよく考えてくれる『よい夫』を見定めるには違うポイントを見なければいけません。」(同)
「決断力と行動力」に優れた男性とは
上司とも仲良くできて、自分より下の立場の後輩にも親切に接することができる人物なら、そこそこの出世と、安定的な家庭が築ける男性といえるだろう。それには、上司べったりでなく、女性や後輩にも、優しく平等に接する属人性が求められる。
「そういう人物であっても、『決断力』と『行動力』がない男性では、ダメです。仕事でも、段取りよくこなせるといったメリハリがあり食事のメニュー表から料理を選ぶのが早いといった男性でないと、結婚してから、家庭を切り盛りしていく推進力にかけるからです。決断力のない男性は、どちらかを選ぶのでも迷います。」(神岡さん)
「失敗を恐れるあまり、決断を嫌うのです。こういう男性を選ぶと、妻はイライラさせられます。スパッと思考の切り替えもできずに、ずっと悩むからです。こんな男性は、会社でも出世できませんし、転職にも失敗します。もとより、独立起業も向いていません。何をやるにも、迷いがつきまとい、全力投球できないからです。」(同)
神岡さんによると、このタイプの男性は、口癖ですぐに判別できるそうだ。まず、「でも、だけど」などの言い訳が多いこと。「やっぱしね」「やっぱな」のように、自分も考えていたけれど実行しなかったという言葉もお決まりのようである。
「『あの時やってればな』などの、後悔の言葉が多いのです。温厚で優しそうに見えたのに、ただの弱気の臆病者だったということにもなりかねません。しっかり見極めて、よい男性を夫に選びましよう。失敗すると苦難を背負い込みます。出世第一の男性を選ぶか、出世はそこそこでも家庭も大事にするタイプを選ぶかです。」(神岡さん)
本書は、男女の関係に特化した心理テクニックが紹介されている。 恋愛、夫婦問題、仕事のベースも人間関係によるもの。面倒な異性を黙らせ、社内で評価されるには心理学を理解しておきたい。心当たりのある方には早めの処方をおすすめする。
尾藤克之
コラムニスト