国語力が向上する真の勉強法とは?

こんにちは!黒坂岳央(くろさか  たけを)です。

私は義務教育の成績はまったく振るわずでしたが、本の出版をしたり、雑誌やネットメディアでビジネス記事を書くなど、今では「国語力」を活用した仕事をしています。義務教育をまともに勉強してこなかったので、未だに理科や数学の知識はありません。しかし、国語についてだけはなんとかなっています。その理由は「文章を書く訓練をしてきたこと」にあると思っています。

今回は国語力を向上させるための、真の勉強法をお話したいと思います。

国語は対策が出来ない科目?

私は中・高校時代はほぼ不登校で、周囲の「受験」というワードから遠ざかっていた義務教育時代を過ごしてきました。ですが、ある優等生の言葉が今でもとても印象に残っているのです。その優等生とは親戚の同い年の男性です。彼の親は旧帝大の工学博士のエリート、優秀な父親の血を持った彼は関西の公立高校ナンバーワンの進学校に進学、父親と同じ一流大学で博士号を取得し、現在は医療分野の研究者をしています。

落ちこぼれの私と、優等生の彼は非常に仲良く、高校時代に彼から大学受験の話を聞いていました。ある時、彼はこう言いました。「国語は成績を上げるのが一番難しい科目だ。漢字・古文・漢文だけは勉強して成績を上げることが出来るが、文章能力や読む力は生まれつきの才能がすべてでありどうしても成績をあげようがない。だから俺は他の英語や理数科目を頑張って受験を突破することにする」と。高校を卒業した彼は受験に失敗、現役合格は出来なかったものの、予備校に通うことで一浪を経て大学合格をはたしました。

後から彼に聞いた話では、現役時も浪人時も国語の成績アップはできなかった、と言っていました。これを聞いた当時の私は、「国語力は生まれつきの才能が全て。能力向上は不可能」という思いが最近まで残り続けました(後ほど誤りであることを理解)。

文才は遺伝が80%とは本当か?

彼が言う通り、国語力とは生まれつきの才能が100%の要素を占めるのでしょうか?その謎の解につながるかもしれないデータが週刊現代の2013年5月4日号掲載されました。この画像は大きな話題を呼び、ネットで出回ったことですでにご覧になった方も多いでしょう。下記の一覧によると、国語力の80%程度が「遺伝」となるとあります。

週刊現代より引用

国語力を構成する要素に遺伝性はあるでしょう。文章を論理的に構成する力、分かりやすい巧みな表現力、読んだ人を魅了するため息が漏れるような文章は、努力すれば誰もが同じ水準になる、そんなことはないでしょう。このデータが正しいとするならば、文才が8割もの高い割合を占める事を考慮すると、優等生の彼が言った、「国語力は才能。勉強が出来ない教科」という見解は部分的にしろ、正しいという事になります。

国語力は文章を書くことで伸ばすことが出来る

プロのジャーナリストとして、日々たくさんの文章を書く仕事をしている私はからの答えはこうです。「国語力は遺伝的な要素はある。だが、文章を書く訓練を重ねることで誰でもかなりの水準まで上達することは可能」ということです。

「国語力には才能の要素がある」、それは間違いなさそうです。しかし、逆に考えるならば「才能、遺伝的要素がまったく入り込まない分野」など世の中に一つでもあるでしょうか?

数学や理科などは当然として、車の運転、写真撮影、漫画、スポーツ、タイピングなどあらゆる分野で才能や遺伝的要素が左右します。遺伝による差が生まれないものなんて一つもないのです。生まれつきの才能の有無に一喜一憂することではなく、努力で社会的生活を送る上で問題ないレベルにまで伸ばすことが出来るならば大きな問題はないと思うのです。

そういう意味では、芥川賞を取るような小説を書くことはできないかもしれませんが、誰が見ても誤読のしようがない、わかりやすく、読みやすい文章を書くことは訓練次第で誰にでも出来ることです。そしてそうした能力こそがビジネスで求められる国語力であり、こうした能力を文章を書く訓練によって伸ばすことが出来ると私は思うわけです。

私は自身の国語力の高まりを感じたのは、文章をたくさん読んだことではなく、とにかく大量の文章を書いた経験からです。文章をただたくさん読むだけでも確かに読解力などは伸びるでしょう。しかし、漫然と読むだけでは大きな伸びはありません。受動的な姿勢で得られるものには限界があるのです。何にでも言えることですが、アウトプットをするプロセスの中で負荷をかけ、その負荷が能力の高まりを生み出すのです。文章を書く、というのはネットで自分の意見や、問題提起をするなどの「アウトプット」をすることです。それを継続することで国語力はものすごく伸びると考えます。

アウトプットは最高のインプットである

アウトプットは最高のインプットです。いつまでも机に向かって、参考書を読むというのではなく実際に問題を解く方が力が付く、これと同じことが文章にも言えます。

投資の世界でも、ネットマーケティングの世界でも先生から教わったことをいつまでもお勉強をしている人が必ず一定数います。セミナーを受け、本を買うなどいつまでもインプット、つまりはお勉強をして、実践をしない。ネットマーケティングのノウハウをコンサルに教わったのに、教材を読んでばかりで実践しない。これではまったく能力がつきません。

私は教わったことが7割、時には6割理解できたらとにかく実践しています。取扱説明書の類もここ数年まともに見たことがありません。会社で使っている会計システム、スマホ、ゲーム機、PC、タブレット、あらゆるものについての取扱説明書は分からないことがあるまで開くことはありません。とにかくいじくり倒して使って覚える感じです。

出版やネット記事の執筆も同じです。書き方の講座を受講したことはありません。自分の書いたものを編集者に出して、添削を受け、また修正することをずっと繰り返してきました。それで本も出すことが出来ました。とにかく書きまくって改善を続けるだけでいいのです。

アウトプットは最高のインプットです。国語も同じです。ひたすら読む側にまわるのではなく、たくさん文章を書くことを繰り返すほうが、圧倒的に国語力を付けることが出来ると思います。

黒坂 岳央
フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」 代表

ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。