自民党総裁選と沖縄知事選:予想より接戦?

八幡 和郎

注目の自民党総裁選挙と沖縄知事選挙の見通しについて、本日は、なかなか興味深い報道があった。つまり、どちらも、事前の予想よりかなり接戦になっているというわけだ。

自民党サイト、琉球新報より引用

日本テレビは、自民党の党員、党友を対象に電話調査を行った。総裁選挙で安倍首相と石破元幹事長のどちらを支持するか、たずねたところ安倍氏との回答が51%、石破氏が41%で安倍首相が三選に向け優勢であることがわかった。この電話調査は全国の有権者のうち、自民党の党員、党友であると答えた人を対象に行ったもの。それによると今回の総裁選挙で誰を支持するか、たずねたところ、安倍氏が51%、石破氏が41%だった。一方で、「まだ決めていない」「わからない」との回答は8%だった。(出典:「【独自調査】安倍氏51%、石破氏41%」日テレNEWS)

これだと、安倍氏が220票以上を獲得するが、石破氏も180票程度となる計算らしい。

一方、産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の調査では、自民党支持層でみると安倍首相71.4%、石破氏23.9%だという。これは、いかにも不自然そうに見えるが、乖離はありうると思う。もちろん、日本テレビの数字は石破氏にできすぎの感もあるが、まったく、根も葉もない話ではない。

そもそも、旧竹下派は党員獲得やその締め付けが上手である。それに、野党政治家が土建業界などを使った締め付けや野党支持者の“重複”党員も噂されている。

それから、自民党支持者は若い人に多いが、そのなかで、党員になっている人は少ない。なので、産経新聞・FNNのように70対23とかいうことにならない可能性は強い。

私は、安倍陣営は、期待値を下げておいた方が無難だと思う。前回、石破氏が取った55%取れば十分というような話もあるが、そういうことにしておかないと偽リベラル系マスコミに意外に多かった批判票とか書かれるだけ損だろう。

一方、沖縄知事選挙では、琉球新報が、接戦だという世論調査を踏まえた情勢分析を出した。

琉球新報社は沖縄テレビ放送、JX通信社と3社合同で14~16日の3日間、県内全域の有権者を対象に電話世論調査を実施し、選挙戦序盤の情勢を探った。調査結果に本紙の取材を加味すると、県政与党が支援する無所属新人で前衆院議員の玉城デニー氏(58)と、無所属新人で前宜野湾市長の佐喜真淳氏(54)=自民、公明、維新、希望推薦=が接戦を繰り広げている。一方、投票先を決めていない有権者も一定数おり、その投票動向によって情勢は流動的な要素がある。

この書き方では、玉城氏がややリードしているが、差はわずかだということだろう。2週間ほど前にはダブルスコアで玉城有利と言われ、1週間前でも10%以上の差があると言われたのが縮まっていると言うことか。

もちろん、実質上、玉城陣営に肩入れしている新聞だから、陣営引き締めのために、実態としてはもっと差が開きそうなところを、玉城候補に厳しめに書いた可能性はある。那覇市、沖縄市などで玉城氏が、佐喜真氏は南部や先島などで優勢らしい。また、玉城氏が高い年代で先行し、佐喜真氏は20~30代で勢いがあるという。

佐喜真氏は自民の7割以上、公明も7割以上、維新の6割以上で順調だ。玉城氏は社民、共産、社大、自由、国民民主、立憲民主などの8~9割近く。無党派層では玉城氏が「浸透」、佐喜真氏に「勢い」。

もともと、翁長氏が生きていてそのまま立候補していたら負けていただろうという人が多い。それをあえて、死ぬまで頑張って、弔い合戦に持ち込んだわけで、まさに寿命を縮めて職業政治家としての人生をまっとうしたのである。

そのことは、私は全く誉めることでないと思うが、とりあえず、選挙に有利に働いている。ただ、沖縄の人々の心情として、冷めるのが早いところはあるので、選挙までの次官との勝負ともいわれている。

果たして、この時間との競争がどうなるかなんともいえない。

沖縄では15日に安室奈美恵がラスト・コンサートを行った。翁長知事を死の直前に訪問し、その死を悼んだ安室が、コンサートで何か言うのではという噂も流れたが、なにも起きなかった。

いずれにせよ、知事は一度当選すると二度目はどこの県でも圧倒的に強く、90%を遥かに超す再選率であるから、こんどの知事選挙は事実上、8年間の沖縄の命運を決める。

どちらが勝つべきかということでなく、ぜひとも、弔いとか、いんちきな美談でなく、冷静に沖縄の将来への判断がされることであればいいと思う。

八幡 和郎
ワニブックス
2018-09-07