「3ヶ月で英会話が身に付くか?」に対する私からの解

こんにちは!黒坂岳央(くろさか たけを)です。

9月に初の英語本を出し、英語学習のブログを立ち上げたことで、英語学習についてのご質問を頂くようになりました。先日、とあるご相談者から「3ヶ月で英会話は出来るようになりますか?」と聞かれる事がありました。無責任な人、何かを買ってほしいと思う人ならここで

「はい、私のいう通りにすれば必ず!」

といい、何かしら教材を目の前に差し出すことでしょう。

この質問に対し、私はこう答えました。

「可能?不可能?ということなら“可能”というのが答えです。ただ、3ヶ月という期間内なら、それは出来る人を選びます」と。

おそらく、これは多くの人に支持される解答ではないことは分かっています。一般的にはこうした質問が出てくる背景には、最後に背中を押してもらうために、「3ヶ月あれば出来る?(出来るって言い切って!)」という心理があることでしょう。ですので、この回答にはいささか落胆の色を見せる人もいるかもしれません。

3ヶ月間、という期間は何か大きな事を成し遂げるのに、十分な長さではありません。その期間で英会話を身につけるとなるとかなり頑張る必要があります。ただ「かなり頑張る」とはいってもなにか大きな犠牲を払ったり、才能を必要とするほどでもないのが事実です。

使える時間は人によって異なる

英語なんて単なるツール、ツールですから運動音痴の人も経験を重ねれば自転車に乗ることができるのと同じで、英語も必ず出来るようになります。特別な才能や若さが必要な分野ではありません。国際会議の同時通訳者になるならまた話が違ってきますが、外資系企業に転職して外国人役員にプレゼンテーションをこなすくらいなら誰にでも出来るようになります。著書、『中学レベルの僕が「読むだけ勉強法」で英語をペラペラ話せるようになった!』にはそのやり方の一部始終すべて詰め込んでいます。

ただし、「3ヶ月で」と短い制限時間をつけられると、かなり事情が異なります。なぜなら人によって使える時間は全然違います。

私が英語の勉強をスタートした時はフリーター派遣でしたので、投下出来る時間が多かったから比較的、短期間で大きな力がついたというのもあるでしょう。それから「これで無理ならもう本当に死ぬしかない」と本気で思っていたくらい切羽詰まっていた、という事情も手伝ってくれたのでしょう。

正しい学習ノウハウの元、持てる時間をたくさん投下すれば物理的には不可能ではありません。しかし、人間ですからやっぱり機械のように動けないのが普通です。人は冷たい金属でできているのではなく、温かい血肉通った動物です。感情ややる気に波があるのが普通ですから、学習の取り組み方にムラがあるものです。そのゆらぎも、学習に使える時間と同様に人によってあまりにも異なるため、「3ヶ月なら100%誰でも出来る」と私は言い切れないのです。

3ヶ月ではなく、1年間のロングスパンで取り組んで欲しい

これは英語学習に限った話ではありませんが、あらゆる分野での実力や成果というものは二次曲線的に伸びる性質を持っています。最初はあまり伸びないけど、ブレークポイントを超えたら突然大爆発を起こしてすごい伸びを見せるというアレです。

なぜこんな事が起こるのかは今回割愛しますが、とにかく短期で成果を出すのではなく、中長期的に継続することがものすごく重要なのです。3ヶ月間、本当に真剣にやれば成果が出るのは間違いありません。でもそれを本当に実践することが出来る人はどうしても限られます。

人によってはものすごく要点を押さえるのが上手とか、とてつもなく記憶力が良いとか、完全無職で一日16時間勉強する人とか、そういう人は3ヶ月でとんでもないところに行きます。私は昔、英語多読を指導した事があり、その中にわずかな期間で英字新聞を読むようになり、その内容をペラペラと話す力を付けた超人がいました。でも、そんな例外的なエピソードは知らない方がいいです。普通ではないので聞いても参考にはならないし、なまじ聞いたら「彼はあんなに短期間で出来たのに、それに引き換え自分は…」とがっかりしてしまうだけですから。

1年なら確実にたどり着ける

「3ヶ月あれば英会話が出来るようになりますか?」

この質問に隠された深層心理には、「3ヶ月やって成果が出ないなら、バカバカしいから最初からやらないよ」というものがあります。でも私はそのような短期思考ではなく、ぜひ1年という単位で考えてほしいと思っています。3ヶ月学習を継続できるだけの根性と熱意があるなら、それをあと9ヶ月間頑張って、合計1年間続けてもらえるならば、それは「必ずモノになる」と自信を持って言わせてもらうことが出来ます。

世の中のどんなものでも3ヶ月で大きなことは出来ません。それは漫画家の世界でも、スポーツの世界でも、会社勤めでも同じ。堂々と「自分は出来る!」と言い切れるのはやっぱり1年はかかりますよね?

1年間頑張ってもらえるなら、もしも途中で少し息切れし、正しいやり方から外れてしまっても、それを挽回してゴールに辿り着くのに十分な期間となります。私も英語力ゼロからビジネスの場でも一切困らないくらいペラペラになれましたが、一人独学でやっていましたので途中でずいぶんと遠回りをしてしまった事がありました。

しかし、最初からロングスパンで取り組むつもりでしたから、途中でどうしようもない手法に手を染めてしまっても、最後にはちゃんとたどり着くことが出来たのです。

「3ヶ月で英会話が出来るか?」もちろん、それは不可能ではありません。しかし、無理に短期間で成果を出すことはありません。英語力を付けることの鍵は「やめない」ということです。それは英語に限ったことではなく、世の中のあらゆる挑戦に言えることだと思っています。

黒坂 岳央
フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」 代表

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。