自民党総裁選は安倍晋三首相が全体の68.5%を獲得し3選しました。石破茂元幹事長は敗れたものの、目標としていた合計200票を超えました。https://t.co/JJkYu5bNx4
— 日本経済新聞 電子版 (@nikkei) 2018年9月20日
自民党総裁選挙で、石破氏が善戦したというのは、安倍首相を誹謗したい人たちのふざけた中傷である。善戦だったかどうかは、予想より差が小さかったかどうかなど関係ない。ダブルスコアを善戦という日本語はない。せいぜい、「石破氏、最悪の惨敗は免れ、政治生命の首の皮一枚残す」という程度だ。
それから、私自身は石破氏がいわれるほど惨敗しないのでないかと、先日、書いたばかりだ。党員票については、二重国籍ならぬ二重党員など自民党支持者でない人がかなりいる、党員は石破支持の多い高齢者が多いなどを考えれば、自民党支持層の傾向より石破支持が多くなるのは当たり前だ。それに、竹下派の中枢メンバーが安倍首相を威嚇するためにフル回転したこともたしかだ。
石破氏は山形、茨城、群馬、富山、三重、鳥取、島根、徳島、高知、宮崎の10県で勝ったが、島根での圧勝ぶりとか、清和会のお膝元である群馬での石破氏の勝利はその現れだ。
しかし、そうはいっても、安倍首相は地方で伸び悩んだのは事実であり、反省すべきだ。原因は2つだと思う。
モリカケ問題について地方の人は都会の人より厳しい目で見ている。その根底に、安倍首相や昭恵夫人の都会人的な生活とか、雰囲気に対する反発があると思う。これを甘く見てはいけない。
もうひとつは、石破氏の地方重視論だ。これが、まるで「毛針」であることは、すでに昨日も詳細に論じたところだ。そもそも、安倍首相からの期待を受けて地方創成相として任命されながらっまったく頓珍漢な政策しか打ち出せず、安倍内閣最大の汚点というべき失敗をしたのは石破氏自身であって、それについて真摯な反省もな地方重視などというのは笑止千万だった。
とはいえ、石破氏は看板だけは掲げて、あまい夢だけは見せようとした。それに対して、安倍首相は、夢も語らなかった。日本全体がよくなればおのずからとはいわないが、これまでと違うことはいわなかった。つまり、これまでと同じように地方はだめということになってしまう。
私は1980年代に「東京一極集中が日本を滅ぼす」(講談社)などという本を書いたり首都機能移転を主張したりした。いまでも、政治家などと会うと地方重視をどうすればできるか説明したりするのだが、なかなか過激な主張なので、皆さん無理だとか難しいといわれるが、それでも、それなりに興味を示される方もおればそうでない方もおられる。個別の政治家については論じないが、どうも、安倍首相周辺の政治家は、国家論のようなことに関心が傾き、地方についてはあまり関心事項でない人が多いように思う。
来年の参議院選挙へ向けて首相も少しその当たり関心をもっと持たれた方が良いと思う。