「禁煙表示、だが実際は喫煙可」という禁煙詐欺

こんにちは!黒坂岳央(くろさかたけを)@takeokurosakaです。

私は人生で一度もタバコを吸ったことがありません。

タバコの煙はかなり苦手で、外食をする時は禁煙であることを食べログなどで確認をした上で、来店するようにしています。しかし、サイトでは「禁煙」「分煙」となっていても、実際に来店してみると普通にタバコを吸う人がいることがよくあります。

先日も次のような経験をしました。事前にその店が「禁煙店」であることを確認し、席に腰を下ろして食事をはじめました。するとガヤガヤと団体客が来店、一人が「灰皿お願いします」と店員さんに伝えると、「どうぞ」と当然のように灰皿を差し出したのです。

その時、私が感じたのは、お店に対する「不誠実さ」です。Webページには「禁煙」「分煙」としっかり書いているにもかかわらず、実際には喫煙が出来るのでは話が違うように感じたわけです。

この「分煙」「禁煙」という表記は、前から不便に感じていました。

店舗によって定義がバラバラ

一口に「分煙」「禁煙」と言っても、お店ごとの定義に大きなばらつきがあります。

「分煙」と書いてあっても、お店によっては「喫煙専用ルーム」が設けられていて、完全に分煙されているお店もありますし、禁煙エリアと喫煙エリアが単に距離が離れているだけで、実際には同じ空間で繋がっていたりする店もあります(実質分煙の意味をなさない)。また、「禁煙」と言っても、お店全体が禁煙の場合もありますし、禁煙フロアと喫煙フロアに分かれているケース、ランチは禁煙だが、ディナーは喫煙可という場合などです。

最近は「完全禁煙」という表示の店も増えてきて、「このお店はまったくタバコを吸うことが出来ないのだ」と思って来店すると、禁煙なのはランチタイムだけで、ディナーは普通にタバコ吸い放題だったということもありました。

禁煙にするか喫煙にするかは、店舗側の判断です。禁煙なのに吸いたいからと言ってタバコに火をつける人はほとんどいませんから、タバコ煙に悩むケースというのはすなわち、「お店の表示の問題」であることがほとんどです。

飲食店を禁煙にすると潰れるというのは本当か?

「飲食店を禁煙にしたら、売上下がって店が潰れる」という主張を聞くことがあります。これは本当なのでしょうか?

大手ファミリーレストランチェーンのロイヤルホストは、「完全禁煙の店舗を拡大していく」と発表して話題になったことがありました。完全禁煙店舗を展開した直後は、ランチタイムにタバコを吸いながら食事をしたいサラリーマンの客足が遠のき、売上が2割程度減ったそうですが、その後は回復したそうです。先日、ロイヤルホストのIR情報を見てみたところ、2013年から2017年まではまさに右肩上で売上が伸びており、禁煙化に舵を切ったことで大きな売上低迷は見受けられませんでした。

同社によると「禁煙化した店舗では客層の入れ替わりがあった」ということです。以前は食事をしながらタバコを楽しむみたいビジネスパーソンが来店していたのですが、禁煙後はファミリー層に客層がシフトしたというのです。ビジネスパーソンは一人でも来店する客がいる一方、ファミリー層は複数人で来店するので全体の売上も上がったことで売上の減少を下支えしたのではないでしょうか?

フランスでは2008年にバーやレストラン、ナイトクラブなどを対象に禁煙禁止法が施行されましたが、その結果お店が潰れてしまったという問題は起きていません。また、イタリアではバーやレストランを禁煙にしたことで、利益が2割増加したというデータもあります。

もちろん、お店によっては喫煙客の売上が大きいこともあるでしょうから、全店舗を禁煙にしてもまったく影響が出ないとは思いません。ですが、「外食店を禁煙にすると潰れる」という主張は少々過激に感じます。

禁煙詐欺からの解放

そんな飲食店の禁煙喫煙の表記に決着をつける「ケムラン」というサービスが始まりました。

ケムラン公式サイト

ケムランというサービスでは、禁煙店だけを掲載しています。ケムランはその店が完全に禁煙であることを特派員が実際に確認を行い、その上でサイトに掲載しています。ケムランの表示する「禁煙店」の定義は次のようなものです。

  • 屋内完全禁煙
    テラス席、外の喫煙スペースでの喫煙はOK。時間帯禁煙は不可。
  • 加熱式タバコ・電子タバコNG
    iQOS、プルームテック、グロー、電子タバコ(ニコチン含まないもの)もNG。
  • 店内に喫煙スペースがない
    集合ビル内の店で、屋外・店外の喫煙スペースがある場合はOK。
  • お店の人に掲載の了承を得た
    原則として、上記条件を満たすかを確認の上、掲載許可を得てください。

私のように子供連れで外食をするため、100%禁煙であることを求めるユーザーにとっては大変便利なサイトになりそうです。掲載されるお店は次々と増えており、現在370店舗を超えています。また、単に禁煙のお店を紹介するだけでなく、こだわりの料理や魅力的な店主なども記事として掲載されており、将来的にはケムランで食事をする店舗を検索した上で来店するという流れが出来上がる日も近いかもしれません。

最後のお断りをしておくと、私は別にタバコを吸う人を毛嫌いしてるわけでありません。ただ、お店側には「禁煙」と表示するなら、本当に禁煙であってほしいと願っているのです。ケムランのサイトの充実化を心より願っています。

黒坂 岳央
フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」 代表

アバター画像
ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。