沖縄でみる国籍と領土に鈍感な日本人への警告

八幡 和郎

沖縄知事選挙も終盤にさしかかっているが、国籍とか領土とかいうものに緊張感をもって日本人が対処できないことが本土以上に厳しい現実としてのしかかっている。

外務省サイト、衆議院サイトより:編集部

国籍といえば、玉城デニーの出生と国籍などについてきちんとした説明が欲しいものだ。政界や行政関係者にもいろいろ聞いたが、沖縄の人も正確な情報をもっていないようだ。

父母が結婚していないなくとも国籍を取る方法はあるようだが、玉城氏の場合、条件を満たさなかったか、採ることを望まなかったのかもしれないが、知事としてアメリカと交渉する立場に立とうというなら、自分と相手国の関係は正確に公表しておくべきだと思う。

少なくともアメリカ軍や政府はすべてを知っているのだからなおさらである。

尖閣諸島の問題について、沖縄の人には、中国との平和の海にしたらとか呑気なことをいう人がいる。しかし、中国は歴史上、いちども自国の領土だといったこともないのに石油が出るとなったら急に自分のものだと言い出したのである。

現実には、ひたすら強硬策をとればいいというものではないし場合によっては妥協も必要だが、日本がこれまで主張してきたことについて曖昧にしてはならない。そこで譲れば、いずれ、沖縄も危なくなるだろう。

基地を置いておくと狙われるかもしれないというが、置いておかねばもっと危ない。沖縄戦でも兵力を台湾に移したところ戦場になった。

沖縄の戦略的重要性は変えようがない。太平洋戦争でも日本はたいした兵力や施設しか置いてなかったがアメリカ軍は日本攻撃の足場として絶好だということで沖縄に上陸したのだ。

沖縄を永世中立国にでもしたらいいのではないかという人もいるが、それで大怪我をしたのが第一次世界大戦のベルギーであった。スイスの永世中立は、国民皆兵の強い軍事力あればこそ意味を成しているのだ。

アジアの本当の平和は、中国が自由で民主的な国になり、反日を政治的の道具にすることがないような国になったときだ。そのときには、ヨーロッパにおける仏独のように、安定した平和が望めることになるのであって、独裁体制に餌を与えたり媚びへつらうことで平和がもたらされるものであるまい。

沖縄と尖閣の問題については、『誤解だらけの沖縄と領土問題 』(イースト新書) という10月初旬に出版される本でも詳しく論じた。本当は知事選挙の前にと思ったのだが、翁長知事の急逝で間に合わなかったが、じっくり正確な知識で議論して欲しいと思い書いた。

基地問題についての私の意見は、なによりも、日本国民のモラルハザードの解消だ。つまり、沖縄からの基地機能の移転は、もし、それがアメリカ軍および日本政府にとって可能なものであれば、移転先になる46都道府県は拒否できないという原則の確立だ。

最低、それがないと、絶対に沖縄の人々は納得しないと思う。全国知事会で決議して欲しい。

誤解だらけの沖縄と領土問題 (イースト新書)
八幡和郎
イースト・プレス
2018-10-07