なぜ成功者やお金持ちは「自分は運がいい」と考えるのか?

黒坂 岳央

こんにちは!黒坂岳央(くろさかたけを)(@takeokurosaka)です。

あなたは「運」についてどのように考えているでしょうか?「自分は運がいい」と考える人は本当に運が良くなり、「自分は運が悪い」と考えている人は運が悪くなってしまうという話を聞いたことがないでしょうか?

黒坂もついにスピリチュアルや非科学的な事を言い始めた!?

と思われたかもしれませんね。しかし、今回の運についての話は、霊的やスピリチュアルの話ではありません。そう思うのも無理からぬことです。なぜなら私自身も、昔は「運なんて確率論だ。運を引き寄せる主張する人は、壺とか占いを売りたい人達だろう」と思っていました。「運は自分では動かしはない固定値だ。それを自力でどうにかするなんておこがましい」と思っていました。

しかし、起業家をした後、ビジネスをする上でその考えはすっかり変わりました。

そして「自分は運が悪い」と昔は思っていたのですが、最近では「自分は運がいい」と思うようになりました。どんな逆境が訪れた時でも、「これは今の自分に最も必要なことが起きている。自分は運がいい」と自然に思考する習慣を身につけられたように思います。そのように考えて日々を過ごしていると、不思議なことに単なる確率論だけでは考えられないような幸運が舞い込んでくるのです。運というのは、単なる思い込みや確率の話ではなく、健全な思考と努力で引き寄せるものだと思っています。特にお金持ちやビジネスの成功者はそのように考えている人が多いと感じます。

松下幸之助さんは「運が悪い」という人を採用しなかった

パナソニックの創業者、松下幸之助さんは人事採用面接の際、「あなたは運がいい人ですか?」と質問していました。そして「自分は運が悪い」と答えた応募者に対しては、どんなに能力や学歴が高くても決して採用しなかった、という有名な話があります。

松下さんは数々の名言を残し、「道を開く」など名著も多く出している伝説的な経営者です。そんな松下幸之助さんが運について強いこだわりを持っていた、というのは驚きではないでしょうか?松下幸之助さんは「運」は魔法でも、神様が取り扱う領域でもなく、自分のマインドが大きく影響する分野と考えていたのです。

「運がいい、運が悪い」と考える人の心の中には、どのような心理を働いているのでしょうか?私自身、次のように考えています。「運が悪い」というのは何かうまくいかなかった原因を、周囲の環境や人のせいにしてしまう「他責思考」なのです。「運が悪い」というのは、自分の力ではどうしようもない、外的要因で悪いことに巻き込まれてしまったという感じでしょうか。原因が自分ではなく周囲にあるので、自分ではどうすることもできないという、ある種の諦めを感じているわけです。

人生とは、自分では道を切り開くことができないものであり、周囲に巻き込まれて流されるものであるという自信のなさや無力感への嘆きが「運が悪い」というセリフとなって口から出ているのです。そして物事を他責で考える人には成長がありません。逆境を経験しても、その後大きく飛躍することがないのです。このように考えているので、私は松下幸之助さんが「運が悪い」と考える人を敬遠したくなる気持ちがわかるような気がするのです。

反対に「運がいい」と考えている人は「人生は自らの手で切り開ける」という自信の表れではないでしょうか。これは「物事が良い方向に向かっていくのは、自分の努力や力で起こしていくべきである」と前向きに考える心理です。そして、起こった出来事は他責ではなく、「自責」で考える思考の持ち主です。例えば電車が遅延した時、他責思考の持ち主は「やっぱり自分は運が悪いな。遅延に巻き込まれるなんて」と考えます。遅延の原因はあくまで外的要因、つまり「電車のせい」と考えるわけです。

しかし、自責思考の人は「次はもう少し早く出発すれば間に合ったな。有益な学びが得られてよかった」と、遅延の原因は自分の責任にあると考えるのです。このように物事の自責で考える人は成長できます。全ての出来事は自分が変化することで、変えうることができるとかんがえるわけです。

「塞翁が馬」「災い転じて福となす」という言葉があります。物事は表層的なことだけを見るのでは、その真理は分かりません。周囲から見ると「運が悪かったな」と思えるようなことでも、実はそれが後に大きなプラスに変わるということはたくさんあります。

例えば過去の記事で、元Google Japanの村上社長の事例についてお話をさせていただきました。村上さんは英語ができないことで、周囲の社員からいじめにあっていました。しかし、その悔しさをバネに英語の学習を本気で取り組み、英語というスキルで労働市場における希少性を発揮したことがきっかけで、最後にはグーグルジャパンの社長に就任するほど大発展を遂げています。

この大きなステップアップの源泉は、「英語ができずにいじめられた」という当時、本人にとっては不運を呪いたくなるような出来事だったのです。しかし、彼はこの逆境を運が悪いと考えず、チャンスに変えたことで大きな飛躍を果たしているのです。

入社した外資系で、英語ができずに同僚からいじめられるというのは、一見ものすごく不運なことのように思います。しかし、その経験こそが自分を成長発展させてくれたわけです。

お金持ちや成功者は「運がいい」と思っている

起業して数多くのビジネスの成功者や、お金持ちの人たち接する機会を頂いてきました。彼らとやり取りをする中で感じたことがあります。それは「自分は運がいい」と思っている人がとても多いということです。

先日、あるお金持ちの人が「昨日エアコンが壊れてさー」と話を始めました。普通、エアコンが壊れたら「また出費がかさむな」とウゲーと後ろ向きに考えるところです。しかし、その人は違いました。長い間大事に使っていたエアコンが壊れてしまったにも関わらずです。

「あのエアコンはずいぶん長い間、快適に動いてくれた。やっぱり大事に丁寧に使えば機械もそれにこたえてくれるということがわかった。今回、最新モデルを買うきっかけできてよかった」と喜んでいました。

また別の起業家は水のペットボトルを飲んでいた時に、誤ってパソコンのキーボードにこぼしてしまったと言っていました。彼はそのことについてこう言います。「運が良かったよね!これがジュースだったらえらいことになっていた。水だったからまだ壊れずに済んで運がいい」と笑顔を見せてくれました。

こういった話を聞くと、思わず聞いているこっちも笑ってしまいます。とにかく全てを成長の機会と捉える、底抜けの明るさを誇る思考です。そのような思考の持ち主だからこそ、日々どんどん成長を続け、人もたくさん集まり、そして成功しているのではないでしょうか。

同じ物事が起こっても「運がいい」と見るか「運が悪い」と見るか?そんな小さな違いが積み重ねることで人生を変えてしまうような大きな差を生み出してしまうのです。それは時間をかければかけるほど、どんどんその差が開いていきます。

私も「自分は運がいい」と心から思い続けられるよう、思考を磨いていきたいと思います。

黒坂 岳央
フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」 代表