空自に対艦攻撃能力を求めるのはもうやめたら?

清谷 信一

もう空自に空対艦ミサイルで対艦攻撃を求めるのは、やめたほうがいいんじゃないでしょうか。
手持ちの260機の戦闘機は数的にも航空優勢を維持するのが精一杯で、それも危うい状態です。

であれば、副業的な対艦攻撃、対地攻撃はすっぱり諦めて制空にリソースを集中すべきじゃないでしょうかね。

新空対艦ミサイル XASM-3(防衛装備庁サイトより:編集部)

そもそもやる気もないんだし。
対艦攻撃ならば海自のP-1に空対艦ミサイルが搭載できるわけだし。哨戒ヘリにも搭載できます。

まずは航空優勢がなければ対艦攻撃も対地攻撃もできません。

しかもグローバルホークとかアショアとか、トランプの歓心を買うためにあれこれ怪しげな新兵器が調達されてヒト・モノ・カネが奪われています。

空自は本業に徹した方がよろしい。
更に申せば、既に申しておりますが、アラート任務用の安価な戦闘機を導入して機数を増やし、高価なF-35などの損耗を防ぐべきです。これを練習機と同じ機体か、そのバリアントでやってもいいでしょう。

また航空優勢に必要なのは、AWACS、AEW機、空中給油機、電子戦機、UAV、基地の被害を埋めるための工事機材や移動用管制システムなど色々必要です。副業の対艦攻撃に割くリソースはないかと思います。

最近の国士様やら「保守」の人たちはべき論を振り回して、予算の上限も費用対効果も、優先順位も考えないし、全部必要と思考停止をします。

ですが、それは彼らが左翼を揶揄するときに使う「お花畑」そのものです。

現実の予算規模に沿った防衛装備体系を考えるべきです。


編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2018年10月2日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。