YouTuberの相方のキングコング西野です。
今日は『芸能界』に関する少し面白いお話をしたいと思います。
昨日、茂木健一郎さんがオリラジ中田君の活動を紹介しつつ、今のテレビの在り方について言及されていて、その中で、突然、僕の名前が出てきて、たくさんの方からコメントを頂戴しました。ありがとうございます。
あの辺の議論は、僕や僕のまわりのスタッフの中では2012年(芸能村の外に出る僕を世間が全力で叩いていた頃)には結論が出ていて、その日から水面下で準備を進めていたので、ごらんのとおりキングコング西野は現在「干す・干さない」の対象から外れております。
芸能人の皆様がビックリするぐらい自立しちゃっていますが、今でも吉本興業に籍を入れさせてもらっています(厳密には契約とかしてねーけど)。
「なんで、独立しないの?」と、よく訊かれるのですが、べつに、吉本興業にいても隅々まで好き勝手させてもらっていますし、なにより、会社にも社員にも芸人にもメチャクチャお世話になったので、「やられたらやり返すの5倍返し」をモットーに、今日も、せっせと吉本芸人をやらせてもらっています。
いつも驚かれるのですが、僕、結構、吉本興業が好きなんです(*^^*)
お世話になった御礼に、「吉本興業を世界一の芸能事務所にしたいなぁ」と、まあまあ本気で思っていますし、できると思います。
僕は、吉本興業に軸足を置きながらも、外でも活動させてもらっていて、そんな僕から見た「ここは、もっと改善できるし、ここを改善してら、メチャクチャ強い事務所になるなぁ」という点があるので、アイデアを出して、実行することにしました。
ここからは、11月に出る新刊『新世界』に掲載する文章の原稿です。
ニヤニヤしながら読んでください。
僕が提示する現代の芸能事務所の在り方です。
吉本興業2.0
吉本興業をアップデートする。
まずは、今現在、所属タレントが吉本興業に対して抱えてそうな不満を挙げてみよう。
さっきも言ったけど、「使いやすい事務所」になった方が才能は集まってくるので、不満は早々に解消しておこう。
パッと思いつく不満は二つ。
「仕事を貰えない」問題
吉本興業は社員650人。それに対し、所属タレントの数は、なんと6000人。
芸能事務所は、事務所が仕事を取ってきて、所属タレントに分配するんだけど、吉本興業の場合だと、数百人が取ってきた仕事を、6000人に分配しなきゃいけない。
すると「分配しきれない問題」が発生して、仕事を分配してもらえなかったタレントから「事務所が仕事をくれない」という不満の声があがる。
それに関しては、「オマエ(芸人)がもっと頑張れよ」という話なんだけど、そういった正論はこの際抜きにして、今回は、この不満の解消だけに目を向けてみる。
「事務所のお財布」問題
以前、先輩方が一丸となって、「ギャラを上げてくれ」と社長に直談判しに行くという、涙ぐましい事件があった。
数時間の話し合いの末、撃沈。
結局、ギャラは上がらなかったらしい。
ひとつ確かなことは、先輩方が「ギャラに対しての不満を持っている」ということだ。
所属タレントが抱えている不満は、この二つ。
①「仕事を貰えない」
②「ギャラが安い」
これを解消する。
《それって、どうすんの?》
まずは、「ギャラが安い」問題から。
社長に直談判しに行くのは、とても良いことだと思う。
ただ、それは「雇われている側」の正義なんだよね。
これは芸能事務所に所属しているタレントだけに限った話じゃなくて、会社で働くすべての人に言えることなので、キミも覚えておくといい。
給料を上げてもらう時に考えなきゃいけないのは、「雇う側の事情」で、給料が上げられないのには、給料が上げられない理由がある。
個人が個人の財布からお金を出してモノを買うように、会社も会社の財布からお金を出して社員を買っているんだ。
つまるところ、自分を高く買ってもらいたければ、会社の財布に入るお金を増やしてしまって、〝給料を上げられる状態〟を作ってあげればいいわけだ。
今回の場合だと、吉本興業の売上を極端に上げればいい。
《どうやって吉本興業の売上を上げるの?》
ここで「仕事を貰えない」と不満をこぼす人達の出番。
吉本に所属している6000人のタレントの中で、事務所から貰っている仕事だけで生活できている芸人は数百人。
残りの5000人以上の芸人は、アルバイトをしている。
つまり、5000人分の労働力が各アルバイト先に落ちているわけだ。
芸人が居酒屋で、お客さんを楽しませて、居酒屋の常連客を増やしても、吉本興業には1円も入っていない。
勿体ないよね?
そこで。
「6000人の芸人が自分で仕事を取りにいけるプラットフォーム」を事務所で作ってしまって、そのプラットフォームの「手数料」が事務所に入るようにする。
たとえばボクはクラウドファンディング(CAMPFIRE)のリターンで『講演会に西野を呼べる権利』を販売している。
言ってしまえば、ネット上で直接営業している状態だね。
そして、その時の手数料はCAMPFIREさんに入っている。
ボクはこれまで CAMPFIREさんのクラウドファンディングで1億2千万円ほどを集めているので、ザックリ計算、CAMPFIREさんに、まぁ結構な額の「手数料」を納めている。
ボクはCAMPFIRE の代表の家入一真さんのことが好きなので、それで全然構わないんだけど、キミが吉本興業の社長だったら「その手数料、ウチに頂戴よ〜」となるよね。
てなわけで、もう、吉本興業でクラウドファンディングのプラットフォームを作ってしまって、6000人の芸人に、このクラウドファンディング上で直接営業してもらって、その「手数料」が吉本興業に入るようにしちゃう。
自分で仕事を取りに行けるようになれば、仕事の有無は120%自分の責任なので「仕事を貰えない」という不満も消える。
吉本興業は、これまでどおり「会社が取ってきた仕事の売上」に加え、「6000人の芸人が取ってきた仕事(クラウドファンディングの手数料)」という二本柱で収益を出す。
事務所の財布に入るお金が増えるので、ギャラの不満も多少は解消されるんじゃないかな。
ここでポイントは、こんなアイデアなんて誰でも思いつくし、1円の価値もないということだ。
アイデアは形にして初めて価値が生まれる、
てなわけで、さっそく形にしよう!
まずは、社長に連絡。
西野
「吉本発のクラウドファンディングのプラットフォーム を作っていいっすか?」
社長
「いいよー」
いとも簡単にOKが出たので、すぐにエンジニアさんに連絡。
そんなこんなで、吉本興業は日本の芸能事務所で初めて自社のクラウドファンディング・プラットフォームを作ることになった。
サイトの名前は、『シルクハット』
覚えておいてね(*^^*)