今年8月現在の米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES)が米国の財務省のサイトにアップされた。
これによると、引き続きトップは中国で日本は2位となっている。8月の中国による米国債の保有額は1兆1651億ドルとなり、7月の1兆1710億ドルに比べて59億ドル減少し、昨年12月の1兆1682億ドル以来の低水準となっている。
7月に米国のトランプ大統領は中国からの輸入品340億ドルへの追加関税を発動した。この対抗措置として中国は米国債を売却したのでは、との思惑も出ていたようだが、これについては疑問である。
2位となっていた日本も8月は1兆299億ドルと7月の1兆355億ドルから56億ドル減少させていた。水準とすれば5月の1兆304億ドルを下回り、ここ1年で最も少なかった。日本が特に米国に何かしら対抗措置を取ることは考えづらい。
中国の外貨準備高は8月に小幅ながら減少した。中国では米国債投資の原資ともなる外貨準備高と米国債残高がある程度連動している。
8月の米国債の値動きをみると7月下旬あたりにかけて下落していたものの、8月は総じて価格は上昇基調となっており、このタイミングで中国や日本は利食い売りを入れてきたとの見方もできる。
たしかにロシアによる米国債保有高については、3月の961億ドルから4月の487億ドル、5月には149億ドルに急減していた。8月現在にはランク外ともなっており、こちらは政治的な意味合いがあった可能性はある。
しかし、今回の中国の米国債保有高の減少については、外貨準備高や米国債相場そのものによるものとみておいたほうが良さそうである。
ちなみにサウジアラビアは1695億ドルの米国債を保有しており、第10位となっている。
編集部より:この記事は、久保田博幸氏のブログ「牛さん熊さんブログ」2018年10月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。