1歳3か月の娘がいる。今週末は私が札幌なので、毎週楽しみにしているデートができなくて寂しい。楽しい日々を送っているし、私も子供も日々のことで精一杯だが、たまに将来のことを考える。
いや、妄想のような理想を言えば、高校は私の母校、札幌南高校に行ってほしいなという想いは正直あるが、その頃の社会や南高がどうなっているのかは分からないし、娘にとってそれが良いのかも分からない。ただ、どのように育てるかは妻と相談しつつ、ちゃんと考えなくてはならない。一応、大学の教員をやっているし、教育については自分の専門とも関わるのだが、お受験、中学受験や塾事情などはよくわからない。
そんなときに、盟友、おおたとしまささんが『受験と進学の新常識』(新潮新書)をリリースした。これは、おおたさんが今まで書いてきた、受験と進学に関する集大成のような本だ。おおたとしまさベスト盤とも言える。今まで書いてきた本の内容がコンパクトに各章にまとまっている。しかも、描き下ろし。
おおたさんの本はこれまでも読んできたのだが・・・。今までの本の内容が各章にまとまっているという感じではあるのだが。なんだろう、むしろこの本の方が濃く感じるのは。それは、1冊を1章にまとめたとはいえ、むしろ濃くなっているし、各章が化学反応を起こしていることからだろう。日本の教育の見取り図とも言える本だ。
相変わらず、丁寧な良い仕事をしている。しかも、情報を惜しげもなく提供しつつ、安易に答のようなものも提示せず、読者に考えさせるというつくりもナイスだ。おおたさんらしい。読む人の価値観や解釈によっては、日本の受験と進学事情について、おぞましくも感じるかもしれないし、希望を持つ者もいるだろう。自分たちの時代の常識で考えてはいけない。自分はなんて牧歌的な時代を生きたのだろうと反省をしたりもしたのだけど。
おおたさんの第三章が始まる予感がする1冊でもあった。これが1,000円以内で読めるとは。まるで、高級中華料理屋の3,500円のランチコースを頼んだかのような気分だ。
よかった。おおたさんのこの本に、このタイミングで出会えて、私は本当によかった!
編集部より:この記事は常見陽平氏のブログ「陽平ドットコム~試みの水平線~」2018年10月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。