韓国の徴用工賠償判決にできる日本の強い報復措置

八幡 和郎

韓国大法院(最高裁)は30日、戦時中に日本本土の工場に動員された韓国人の元徴用工4人が、新日鉄住金に損害賠償を求めた訴訟の上告審で、韓国個人の請求権を認めた控訴審判決を支持し、同社の上告を退けた。1人あたり1億ウォン(約1千万円)を支払うよう命じた判決が確定した。

このような日韓のあいだの条約ですら無効にしようと韓国がちゃぶ台返しをするなら、日本も対抗策を正々堂々と同等にとるべきだ。

私は昨年に刊行した「韓国と日本がわかる 最強の韓国史」(扶桑社新書)で3つの措置を提案している。

今回はさらに2つの措置を提案する。ここでは、別にそのすべてをすぐにしろとはいうのではない。ただ、日本はそこまでする気だといわないと「やったもの勝ち」になる。そして、実際にこの判決で日本企業に実害がでたら、ただちにこの5つの報復措置を順次、実行に移すべきだ。

まず、かねてより提案しているのは、次の3つだ。

①日本人が半島に残した個人財産への補償を要求

②対北朝鮮経済協力の拒否(統一時も含む)

③三代目以降に特別永住者の地位を認めない事

①日本人が半島に残した個人財産への補償

日韓基本条約締結に伴う協定及び交換公文形式で放棄されているが、ポーランドやチェコでもドイツ人資産の返還もされており、向こうが個人請求権を言うなら蒸し返しはあり得る。また、北朝鮮に対しては国有財産も含めて白紙だ。

②対北朝鮮経済協力の拒否(統一時も含む)

この点については、近く別途、書くが、日本は日韓国交回復時にいわゆる植民地支配について賠償は行わなかったが経済協力をした。北朝鮮はなお賠償を要求していたが、日朝平壌宣言で経済協力とすることで合意している。しかし、条約でもないし、その後の北の暴虐はこれを反故にする十分な理由となる。

③3代目以降には特別永住者という扱いをしない

日韓の合意で「資格は2代目まで継承できることとし、3代目以降については25年後に再協議する」とし、1991年に入管特例法により3代目以降にも同様の永住許可を行い、朝鮮籍、台湾籍の永住者も合わせて特別永住許可として一本化された。しかし、この制度を永久に維持するかどうかは日本が決めることだ。

また、現在、日本に帰化するときは、韓国が帰化希望者に要求しているような、忠誠宣言は要求していないが、これは、世界の常識にしたがって要求するべきものだ。

さらに今回の提案は次の2つだ。

④歴史教科書における近隣国条項を韓国に限って撤回

近隣諸国条項とは、日本国の教科用図書検定基準に定められている「近隣のアジア諸国との間の近現代の歴史的事象の扱いに国際理解と国際協調の見地から必要な配慮がされていること」という規定のことである。

これは、1982年に、1981年度の教科用図書検定について、「高等学校用の日本史教科書に、中国・華北への『侵略』という表記を『進出』という表記に文部省の検定で書き直させられた」という日本テレビ記者の取材をもとにした誤報が発端となり、中国と韓国が抗議して外交問題となり、『「歴史教科書」に関する宮沢喜一内閣官房長官談話』が出され、それに基づいて定められたものだ。

⑤韓国大衆文化の流入制限

韓国における文化面での日本大衆文化流入制限が撤廃されるまで、同様の措置を日本もとることだ。かつてほどではないが、あいかわらず、地上波放送では、日本のドラマやバラエティ番組のオンエアは禁止されている。日本も韓流について、同様に扱えば良い。

韓国の文在寅大統領は、徴用問題についての個人請求を否定しないようなことを言うし、慰安婦問題も蒸し返すなどやりたい放題だ。

金正恩も「日本を沈める」とかいいたい放題だ。そんななかで、何かパンチの効いた対抗措置はないのかといえば、簡単ではないが、ないわけではない。

別にそんなことをしたいわけでも、するべきだとも思わないことは、特に強く念を押しておくが、南北のちゃぶ台返しの連続に指をくわえて見ているだけでは芸がない。いざとなれば、こっちも「究極の対抗策はあるのだぞ」ということはシミュレーションしてよいのではないか。私も何か落とし穴がないか、専門的に研究したわけでもないので、もし、ご指摘があれば歓迎だ。

韓国と日本がわかる最強の韓国史 (扶桑社新書)
八幡 和郎
扶桑社
2017-12-24