日本の宿泊ビジネスに「ゲームチェンジャー」が襲ってくる

港区を歩いているとあちこちに新しいホテルが開業し、今後も工事中のホテルが続々オープンするようです。「変なホテル」というHISが運営する宿泊施設も最近稼働を始めました(写真)

インバウンド需要と2020年の東京オリンピックで盛り上がっている東京のホテルですが、ビジネスとしては楽観視できないと思っています。宿泊需要は環境の変化によって激減するリスクがあります。一方で供給はこれから過剰気味になっていきます。競争力のないホテルは淘汰されることになるでしょう。

もう1つのリスクは、グローバル競争の激化です。

驚異的な成長をグローバルに続けるインドの新興格安ホテル運営会社OYO(オヨ)ホテルズが、まもなく日本進出するそうです。

IT技術を駆使して、既存のホテルを標準化し、均一なサービスを低価格で提供することで急成長しているグループです。ソフトバンクグループから資金調達したことでも話題になっています。

創業は2013年ですが2年で客室数でインド最大手になり、中国では2017年11月の進出から10カ月でトップ10に入っている桁違いの伸び率。日本でも稼働率の低い中小ホテルを系列化し、一気に客室数を増やしていくことが予想されます。

OYOは27万室で、世界最大手のマリオット・インターナショナルとは、まだ100万室以上の差があります。しかし、四半期に14万室増えているOYOと、2万室程度しか増えないマリオットがもし同じペースで成長を続けると、2020年末までにOYOが世界最大のホテルチェーンになる計算です。

加盟しているホテルのオーナーは、スマホだけで、経理、予約、清掃お管理などの経営管理が可能。OYOが宿泊データを分析して、AIが需要ミスマッチを最小化して稼働率を最大化するよう宿泊料金を各部屋毎にリアルタイムで変化させていくそうです。

日本の観光需要の変化よりも、このようなテクノロジーを活用する「ゲームチェンジャー」が、宿泊ビジネスを根本的に変えてしまう可能性が高い。こうなると、競争するのではなく、このようなチェーンに入ってしまいオペレーターとして事業を行う選択肢も出てきます。

ホテル・旅館だけではなく、AirBnBに代表される民泊ビジネスもこれから変化していき、数年後の日本の宿泊ビジネスは、今とは全く異なるレッドオーシャンな情景になっている。そんな気がしています。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2018年11月2日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。