「とりあえずやってみる」という名の成功法則

こんにちは!黒坂岳央(くろさかたけを)です。
※Twitterアカウントはこちら→@takeokurosaka

「とりあえずやってみよう!」これは私の周囲にいる「年に一億円以上稼ぐビジネスマンや投資家」に共通する口癖です。しかし、真面目な優等生タイプほど、この口癖に対してネガティブな印象を持つことがあるようです。「そんな思いつきで動くのではなく、しっかりと考えてからやるべきだ。思慮が足らないのでは?」と。

しかし、「とりあえずやってみよう」という思考は思いつきなどではなく、実は今の時代に最も則した成功法則だと私は考えています。

「とりあえずやってみる」はテストマーケティング

「とりあえずやってみよう」という人の頭の中を見てみると、そこにあるのは「これからやることを100%、何が何でも絶対に成功させる」という完璧主義的な思考ではありません。もちろん、うまくいけばそれは喜ばしいことですが、彼らが求めているのは「やってみてどうか?」という「データ」です。これはテストマーケティングの活動と取ることができます。

「人伝いに聞く」と「自分で体験をする」という間には、埋めようのない大きな情報量の差があるものです。「聞くと見るとは大違い」というやつですね。それはビジネスでも趣味でも、そして人間関係にも言えることです。ただ人伝いに聞くのではなく、実体験して得られる「活きたデータ」は、計り知れない価値があります。これまでやったことがないビジネスの施策などをやってみて、

・面白い、興味が持てると思うか?

・その分野の強み、弱み

・競合の位置や強さ

といった様々な事がたちどころに見えるようになります。特に「自分がやりたいとおもうか?」という適性については、やってみないことには絶対に分かる事はありません。「とりあえずやってみよう」が好きな人は、その事を骨身に染みて理解しており、うまくいくかどうかではなく「まずはデータが取りたい」と思う人種なのです。

機械学習の観点でみても合理的思考

どんな分野においてもそうですが、体験せずして語ることは出来ません。

大多数の人に「これいいよ」と支持されているからと言って、それが自分にマッチするとは限りません。最大公約数的に支持されるものは、確かに質の良いものである可能性は高いでしょう。しかし、ことビジネスや投資については、大衆の真逆をいく「逆張り」にビジネスチャンスがあるのです。

人の行く裏に道あり花の山

という投資の格言があります。ほとんどの人が知らないものこそチャンスがあり、多くの人が手にするようになったものは、逆に暴落して高値づかみになるものです。2017年年末の仮想通貨暴落などはその典型といえるでしょう。

…少し話がそれてしまったのですが、「やらないと分からないから、つべこべいわずにやる」というのは思慮の足らない思いつきなどではなく、極めて合理的な思考です。

機械学習の観点でいえば、「まずやってみる」ことで様々なパターンを得られ、やっていく過程でリソースの配分を変えながら、微調整をすることでよりよい結果を得られる事になります。限りある経営資源でムダな活動や投資を抑え、もっとも効果をあげる極めて優れた手法と言えるのです。

ただし、リスクの取り過ぎは注意

ただし、気をつけるべき点が一つあります。それは「まずやってみる」という時は、必ずスモールスタートでやるということです。

退職後に溜め込んだ資金で、長年あこがれていた「こだわり店」を開業して破産し、退職金を失うという怖い話があります。あれは未経験分野で、なんのデータもないのに、いきなり全力全開でやったために起こってしまうのです。投資の初心者がいきなり大金を投じてしまうと、あっさり高値づかみからの塩漬けモードになる、というのと同じです。

「まずやってみよう」という試みは素晴らしいものですが、再起不能なほどリスクを取っていい理由にはなりません。退職金でお店を開業する、大金を投資につぎ込むというのは、免許を取り立てての人がいきなり時速300キロのF1レースに出場するようなものです。まずやってみるときも必ずお試しで軽くやって、データを取るという工程が必要です。

イギリスの経済学者のアルフレッド・マーシャル氏のいった「Cool head but warm heart(頭は冷静に、しかしあたたかい心で)」ではありませんが、私はこれを真似て「Cool head but hot heart(頭は冷静に、しかし熱いハートでノリノリで行こうぜ)」と言いたいところですね。

リスクのないところにチャンスはない

これは投資に限った話ではなく、世の中のすべてにおいて言えることですが、「リスクのないところにチャンスはない」ということを忘れてはいけないと思います。

やる前からあれこれ悩むことは、誰にも未来が予測できない以上、まったく意味がないことです。「将来、お金の不安があるけど投資は怖い」というなら試しに1000円でやってみればいいのです。1000円が700円になってしまう可能性はありますが、正しい知識を持って挑めば0円になることはほとんどありませんし、最悪1000円を失うような挑戦であっても、それ以上の損失はありません。

逆を言えば1000円が1300円になる可能性もありますから、チャンスもバッチリあるわけです。お試しで投資をやってみて得られるのは、お金などではなく「経験とデータ」です。お金に変えられない価値を得られると考えれば、ものすごくお買い得な買い物です。

「とりあえずやってみよう」を口癖にすることで、どんどん有用なデータを集めることができ、人生経験を豊富に積み上げることができます。

黒坂 岳央
フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」 代表

ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。