昨年くらいから、人工知能(AI)が話題になることが増えました。AIの発展で、人間がやる必要のない作業については代替が進むことが予想されています。しかし、人間の関わりの本質的な部分がなくなることは考えにくいでしょう。
10月15日に、筆者として11冊目の書籍『即効!成果が上がる文章の技術』(明日香出版社)を上梓しました。1週間で重版し2週間で3刷。予想以上の反響に驚いています。読者ニーズを探るため、数カ月前からQ&A形式のツイートを重ねてきました。その中で、反響の大きかったものを6本紹介します。皆さまはわかりますか?
--ここから--
(1)他山の石編
社員:社長の教えを「他山の石」とします
社長:よろしく頼むよ
「他山の石」は優れた言行を手本にする意味で使われがちです。正しくは、他人の誤った言行を戒めにすることをあらわします。社長が怒り出すかもしれませんのでご注意を。
(2)綺羅星編
A氏:なんと、あそこにいるのは当社の経営陣です!
B氏:「綺羅星(きらぼし)のごとく」ですね
「綺羅星のごとく」は、「綺羅、星のごとく」と読むのが正解。「綺羅のように星が空に輝いている」「地位や権勢」をあらわします。「綺羅星」ではありません。
(3)一世一代編
A氏:こうなったら、いっせい一代の大勝負だ
B氏:頑張ってください!
「一世一代」は、一生に一度だけあるかどうかの意味で使われます。「一世(いっせい)一代」と読む人が多いと思います。正解は「一世(いっせ)一代」です。
(4)吝かではない編
A氏:社長から出張依頼。でも土日を返上だ
B氏:社長命令なら「吝(やぶさ)かでない」のでは?
「吝かでない」は「やむを得ない」の意味に使われがちです。正解は「喜んでする」ことです。この文脈だと土日返上で嬉しいになります。
(5)怒り心頭に達する編
A氏:営業の山田課長はいい加減だ。スケジュールを守らない
B氏:さすがに「怒り心頭に達した」状況ですね
「怒り心頭に達した」を「怒りがこみあげる」の意味で使いがちです。正解は「怒り心頭に発する」。心頭は心の中のことです。
(6)脚光を集める編
A氏:今回は成績上位で嬉しいです
B氏:周囲から「脚光を集め」ますね
「脚光を集める」を「世間の注目の的となる」という意味で使いがちです。正解は、「脚光を浴びる」です。人に光が当たることから「浴びる」が使われます。
--ここまで--
最近、言葉に関する書籍を見かけることが増えました。「大人にふさわしい言葉を身につけたい」というニーズがあるようです。スマホで文字を書くことが多くなったせいか、意味不明な文章が増えたように思います。言葉は、コミュニケーションの手段としてなくてはならないもの。自分の評価に影響するので使い方を覚えておきましょう。
参考書籍
『即効!成果が上がる文章の技術』(明日香出版社)
尾藤克之
コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員