勤務している会社の就業規則に、「副業をする場合は会社の承認を得なければならない」と書かれていたので、「業務委託」として承認を得た方が通りやすいにではないかという質問を、Himalaya音声配信で受けた。
1 副業で疲れてしまうなどして本業が疎かになる恐れがある。
2 会社の企業秘密が漏洩する恐れある。
そうであれば、副業の契約形態が「業務委託」だろうと「雇用」であろうと関係はない。
2つの会社に雇用されているという方が印象が悪いように感じるが、細かな事務的手続を除けば「副業として何をやるのか?」という実質の方がはるかに重要だ。
仮に会社の業務と競合しない「業務委託」であっても毎晩徹夜しなければこなせない内容であれば、上記の1の理由で承認は得られないだろう。逆に、「雇用」であっても、日曜日に5,6時間、飲食店や小売り店で働くのであれば概ね問題はないと考えられる。
「雇用」の方が、労働法等の保護が受けられるのではないかという疑問もある?
確かに、通常の「業務委託」の場合は労災等が適用されないし、解雇規制も働かない。
しかし、契約形式は「労務委託」であっても、実質的には会社の支配命令の下で働く場合は、労働法の保護を受けられる。就労時間や就労場所が決まっており、上司の指揮命令の下で仕事を進めていくような場合だ。
このように、副業を行う本人の法的地位も携わる仕事の実質によって左右され、契約形式に左右されるものではない。
余談ながら、多くの会社はまだ従業員の副業を認めたがらないようだ。
確かに、課長のような中間管理職の立場になれば、自分の目が届かないところで部下がやったことまで責任を負わされるのはたまらないという気持ちになるだろう。上から「承認を与えたのだから君が責任をとれ」と言われたのではかなわない。
副業の承認を、中間管理職ではなく部長クラスが責任をもって行うようにすれば、中間管理職も少しは荷が下りるのではないだろうか?
編集部より:このブログは弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2018年11月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。