官僚丸投げの「移民法案」、外国人の上限は国会で決めるべき

玉木 雄一郎

昨日、外国人労働者の受け入れを拡大する入管難民法の改正案が衆議院を通過しました。今後の日本社会のあり方に大きな影響を与える法案にもかかわらず、十分な審議なく強行的に採決された事は極めて残念です。

国会で決めるべき外国人の上限数を官僚に丸投げ

私たちも、全国の人手不足の現状や、外国人労働者の受け入れを拡大する必要性については理解しています。だからこそ、しっかりとした受け入れ態勢を整え、社会に混乱を生じさせないことが重要です。しかし、法案には肝心なことがほとんど書かれておらず、穴だらけの欠陥法案と言わざるを得ません。

一番の問題は、受け入れる外国人の上限やその考え方が法律上なんら明記されていないことです。いったい何人の外国人を受け入れるのかは、国家の意思として、立法府の意思として明確に決めるべきです。しかし、安倍政権は、この本質的な議論から逃げ続けています。ここに問題の本質があります。訳の分からない「移民」の定義を持ち出して、実質的には移民の受け入れにつながるにもかかわらず移民ではないとを誤魔化しているのも問題です。

国民民主党の対案は上限を法律に書き込む

とにかく、重要なことの多くを法律ではなく、内閣や各省庁が国会に諮ることなく決めることのできる政令や省令に丸投げしていることは、国会の立法権を著しく毀損するものです。実質的な中身を店のほとんど官僚に丸投げするやり方は、恣意的な行政や、利権の温床を作り出す可能性があります。

与党の法務委員会筆頭理事である平沢勝栄議員さえも「この法案は100点満点では全然ない」と認めています。今のまま法案が通ることは、外国人にとっても、日本人にとっても、不幸な結果を招きます。

これから、法案の審議は参議院に移りますが、私たち国民民主党は、産業別や地域別に受け入れる外国人の上限を定めるなど8項目にわたる対案を用意しています。参議院では、こうした国民民主党としての対案を提出するなど、穴だらけの法案の穴を塞ぐことのできる本質的な議論を展開していきたいと思います。だからこそ、政府・与党側には成立ありきではない、柔軟な対応を求めたいと思います。

国会を建設的な議論の場に

多数を持つ政府・与党が、少数意見にも耳を傾ける柔軟な姿勢がなければ、結局、対決ばかりになってしまいます。国民が本当に見たいのは、国会の混乱ではなく、国権の最高機関にふさわしい建設的かつ実質的な議論のはずです。

海外にいる家族への健康保険の適用をどうするのか、家族の帯同や日本語教育をどうするのかなど、議論すべき課題はまだまだあります。今国会の成立、来年4月の施行にこだわらない、十分な審議を求めていきます。


編集部より:この記事は、国民民主党代表、衆議院議員・玉木雄一郎氏(香川2区)の公式ブログ 2018年11月27日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はたまき雄一郎ブログをご覧ください。