【外交安保取材】決断迫られるF2後継機の開発方針 「日本主導」が現実的選択肢か
産経新聞の政治部、石鍋圭記者の記事です。
防衛省はF2後継機の開発方針として、国産▽国際共同開発▽既存機の改修-を選択肢として検討を進めている。岩屋毅防衛相(61)は選定のポイントとして、(1)将来の航空優勢の確保に必要な能力(2)次世代の技術を適用できるだけの拡張性(3)改修の自由度(4)国内企業の関与(5)現実的なコスト-の5条件を挙げた。
結論からいうと、この5条件をバランス良く満たす解は国際共同開発しかない。それも、他国の政府や企業任せではなく、日本が主導する形での共同開発だ。
こういうのを机上の空論といいます。
F-2除けば実質的に国際共同開発を行ったことがない。F-2にしても米国に隷属しての開発です。実質的な共同開発ではありません。そもそも既存機の近代化にすぎません。
日本に戦闘機を開発する能力はありません。F-1にしてもジェット戦闘機はつくれました、というだけの出来であり、その問題点をあまり反省してきませんでした。
そもそも過去の空戦データもなく、周辺諸国の戦闘機や搭載兵器のデータもなくてまともなシステムが組めるでしょうか。
この辺は隅田金属日誌(墨田金属日誌)にかかれている通りです。
F2後継機には敵に見つからないステルス技術、逆に敵を先に見つける高性能レーダー、電子戦技術、高性能小型エンジンなどが求められる。日本は、先進技術実証機「X2」などでこれらの技術を高いレベルで実証している。開発を決断すれば、すぐにでも着手できる状況にある。この点で、国産か日本主導での共同開発が選択肢となる。
信頼性のないエンジン使ってOH-1はどうなりましたか?もう3年も全機飛行停止ですよ。
諸外国に比べて開発、実験の予算が少なくてカタログ的な性能はでても、実戦では使い物になりません。そのOH-1を防衛省も日本の専門誌も両手を上げて称賛してきたわけです。
それほど優れていたのであれば、なんでF-15Jの近代化改修が殆ど米国におんぶにだったんでしょうかね。
更に申せば、F-2以来戦闘機の開発も行っていませんし、F-2にしてもゼロから開発したわけでもない。F-2よりもむしろ、同時代のF-16のほうが性能も高く信頼性も高く、運用費用も安いわけです。どうみてもF-2が成功作とは言えません。
しかも空自はF-2の生産機数が減らされると途端に、F-2に一切の問題はありませんと、レーダーの不具合も長期に渡って隠蔽してきました。それは納税者を騙すことです。
こういう大本営発表を平気でやる不正直な組織のいうことを信じられますか?
まあ、信じちゃう人がこのような記事を書いちゃうわけですけども。
国内防衛産業からは「F2の開発に携わったほぼ全ての人材が2020(平成32)年には退職を迎える。彼らの雇用を延長し、技術を伝承するには同年の開発着手がタイムリミットだ。そのことを、年末の中期防で明確に示してもらいたい」との声が上がる。
そもそもF-35AをFXで選定したこということは戦闘機の国内戦闘機製造基盤を捨てるということでした。その選択を空幕も防衛省もしたのです。ところが戦闘機製造の国内戦闘機製造基盤も残したいと二律背反したことをいっています。あのときに国内メーカーからの信頼をなくしていました。どっちも大事と言って、決断ができなかったということです。すでにおそすぎる話です。
「現実的なコスト」はどうか。純粋な国産開発となれば、数兆円といわれる費用を日本が全て負担することになり、現実的とはいえない。ただ、既存機の改修であればコストが低く済むわけではない。有力案として浮上した米軍のF22戦闘機の改修案も、「国産並みのコスト」(防衛省関係者)がかかる公算が大きく、見送った。他国と共同開発をすることで、費用分担をはかれる。日本企業が主導すれば、装備のプラットフォーム化や量産効果などでコストを削ることも期待できる。
まあ、なんというかAVやフランス書院の小説読んで3Dの女の子を口説こうとするようなものです。
自分でカネは払いたくない、だから素人同然の俺達の言う通り戦闘機を作ることに協力しろ。カネをだせ、その出来の悪い戦闘機をお前らも買え。そんな話に誰が揉み手ですり寄ってきますか。
まあ産経新聞のいつもの、日本すげー、ウリナラマンセーの韓国ドラマ顔負けのファンタジーです。
こういう根拠のないテクノナショナリズムを煽る記事を書いて本当に国産戦闘機が開発され、それが実戦で使用されたら産経新聞も石鍋圭記者も責任もてるんですかね。
愛国をネタに金儲けするとはいいませんが、あからさまに国益に反して世論を惑わせ、仮想的に有利になるような世論操作をすることが「国益」だというのでしょうか。
■本日の市ヶ谷の噂■
防衛装備庁は海外軍事見本市にパビリオンを出展するも、そこを拠点に情報集することはほとんどなく、ブースの留守番がいるだけ、との噂。
編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2018年11月28日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。