11月19日、衝撃的なニュースが流れた。日産自動車の会長だったカルロス・ゴーンさんが逮捕されたのだ。
ゴーンさんの罪名は、金融商品取引法違反だ。2011年3月期から15年3月期の各連結会計年度における報酬総額99億9800万円を、49億8700万円と有価証券報告書に過少記載。さらに、経費の私的流用もあったという。
ゴーンさんといえば、経営危機にあった日産をV字回復させた人物だ。さらに、ルノーや三菱自動車の会長も兼務した、世界的なカリスマ経営者でもある。
だから、この逮捕劇には、僕もたいへん驚いた。同時に、いくつかの疑問も生じた。たとえば、こんなにも長く続いた不正を日産の幹部が知らなかったはずはない。それを、日産側が検察に訴え、捜査に全面協力したのだ。つまり、そこには司法取引があり、日産側のダメージを最小限に抑えようとしたのだろう、と。
それにしても、なぜ今なのか。20日付のイギリス「Financial Times」紙によれば、ゴーンさんはルノーと日産の統合を強く進めていた。そして、それは数カ月以内に実現する可能性があった。反対する日産の経営陣は、これまでの不正をあばくことで、ゴーンさんを排除しようとしたのだそうだ。
だが、ほんとうにそれだけなのか。フランス大統領が関係する案件を、東京地検特捜部だけの意向で、しかもゴーン前会長ほどの大物を、逮捕できるのか。
どうやら、日本政府がからんでいる、という情報もある。この事件は、今後も政界を巻き込みながら、まだまだ広がりそうだ。
編集部より:このブログは「田原総一朗 公式ブログ」2018年12月3日の記事を転載させていただきました。転載を快諾いただいた田原氏、田原事務所に心より感謝いたします。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、「田原総一朗 公式ブログ」をご覧ください。