今年も多くの献本をいただいた。今回は、日本一早いビジネス書ランキングを作成したので公開したい。ランキングの根拠としては、アゴラのアクセスや影響度、社会性などを勘案し筆者が作成したものである。独自ランキングになるが、ご理解をいただきたい。献本約300冊からの選りすぐりになる。
「世の中に埋もれている優れた本を発掘すること」を目的としているので、著名人でなくても、魅力的な作品であれば、可能な限り紹介している。掲載基準として「世に問いたいテーマが明確であること」を重視している。※ランキングでは分類わけをしていない。
ランキング(1位~10位)
1位『学びを結果に変えるアウトプット大全』(樺沢紫苑著、サンクチュアリ出版)
著者は精神科医の樺沢さん。インプットを「アウトプット」することは難しくないという展開。アウトプット・トレーニングは誰でもできる簡単な方法として紹介している。学びに年齢は関係ない。アウトプットの重要性を世の中に問うた名著である。
2位『大富豪からの手紙』(本田健著、ダイヤモンド社)
著者は実業家の本田健さん。小説仕立ての自己啓発本に仕上がっている。最高の未来は、自分で引くことができる。祖父の死から「偶然」がはじまり「運命」に導かれ帰結する著書最高傑作。本田健さんのメッセージを味わってもらいたい。
3位『いい緊張は能力を2倍にする』(樺沢紫苑著、文響社)
著者は精神科医の樺沢さん。緊張をコントロールし、パフォーマンスをあげる内容の書籍は多いが根本的な解決法が書かれていなかった。本書は緊張の正体を理解し、緊張をコントロールし、パフォーマンスをあげる方法が明示されている。
4位『日本型組織の病を考える』(村木厚子著、角川新書)
著者の村木さんは、冤罪のち厚生労働事務次官まで上り詰めた。その経験を踏まえ、硬直化した日本型組織を動かす「静かな改革」を提唱する。退官後も諦めずにこの国を変えるために世に問うた渾身の書。日本が置かれている病理に対して初めて口を開く。
5位『5秒で伝えるための頭の整理術』(松本利明著、宝島社)
著者の松本さんは、社会人になると多くの人が「報連相」を学ぶが「報連相」を覚えても、役に立たないと指摘する。一流を目指すなら“ソラ・アメ・カサ”を覚えるべきだと。コンサルファーム出身の松本さんならではの明瞭な解説に注目。
6位『捨てる。引き算する勇気』(やましたひでこ著、幻冬舎)
「断捨離」は、やましたさんの登録商標。独自の自己探訪メソッド「断捨離」の正しい解釈は、モノに対する執着から解放されることで、心のガラクタも整理され「今」を自分らしく生きようとする考えである。多くの人が間違った解釈をしている。
7位『食べれば食べるほど若くなる法』(菊池真由子著、三笠書房)
著者は管理栄養士の菊池さん。健康のためには、食事毎にカロリー摂取量を計算するなど意識付けが必要になるが健康的に若さを維持したいもの。食物のプロが解説する、太らずに若さを維持する方法は必見。これからの季節に役立つ1冊。
8位『運命を味方につけるプリンセスマナー』(西出ひろ子著、河出書房新社)
マナー市場は障壁が低いので、新しい人がドンドン参入してくる。このような市場では、「いいマナー講師が増えれば、業界はよくなり、注目され、活性化する」というビジョンが必要である。「マナー講師の地位向上」を考える西出さんの力作である。
9位『接客1年生お客さまに信頼される50のコツ』(七條千恵美著、ダイヤモンド社)
接客の基本中のキホンとは、お客さまの「イラッ」「モヤッ」をなくすこと。接客のOKとNGのちがいを理解しなくてはいけない。元JALのカリスマ教官が、お客さまに信頼されリピーターが増える接客の基本と実践でのコツをやさしく解説する1冊。
10位『期待以上に人を動かす伝え方』(沖本るり子著、かんき出版)
相手に話を伝えたからといって、ビジネスの現場では相手が動いてくれなければ意味がない。交渉のシーンでは、「お願いしたいこと」を伝えるだけでは成果とはいえない。相手が動くことで初めて成果といえる。人材育成のプロ、沖本さんの力作。
10位『「言いづらいこと」を、サラリと伝える技術』(稲垣陽子著、三笠書房)
著者である稲垣さんの「共創」を目的としたロジックはわかりやすい。相手との関係性を見抜く「リレーションシップ」に重点を置いているためである。「リレーションシップ」の強化が組織活性化を促す流れも明瞭であり実態に合わせたコーチングといえよう。
10位『振り返り手帳術』(伊藤精哉著、新泉社)
思い通りにいかない日々もポジティブに物事を捉え、自分に関する出来事を「マイニュース」として振り返る手帳術。この方法を身に付ければ、誰でも楽しみながらスケジュール管理が可能になる。これから手帳を購入する人に読んでほしい1冊。
※合計12冊(10位を3冊)のランキングになる。いずれも良著として紹介したい。
筆者よりお願いごと
正確に記するなら、私が書いているのは書評ではない。書籍の内容を元に著者や編集者に対してヒアリングなどを行い、一部を引用しながらまとめる方式をとっている。イメージとしては、ルポルタージュが近いが、昨今ではルポルタージュという言葉を使用しないようだ。私は、「ブックルポ(BookRepo)」と勝手に命名している。
アゴラはニュースメディアに記事を掲載している。ニュースとして掲載する以上、信頼性は大きな要素になる。残念ながら献本ルートが不明瞭な書籍は紹介していない。原則的には、版元経由でお送りいただきたい。お送りの際は、ご一報いただければ幸いである。
尾藤克之
コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員
新刊情報<筆者11冊目>
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