「こそあど」を多用すると意味が伝わらない

「こそあど」という、代名詞、形容動詞、副詞、連体詞の中で、指示語(指し示す働きをもつ語)をまとめた名称があります。話し手、聞き手の関係を基準にして指し示すことから指示語といわれています。

「これ」「それ」「あれ」「どれ」の指示語は、日常会話の中ではよくつかわれます。頭文字をとって「こそあど」といいます。会話のなかでは問題はないのですが、文章にするとなにを指し示しているのかわかりにくく意味が通じなくなることがあります。

「これ、それ、あれ、どれ」(代名詞)
「こんな、そんな、あんな、どんな」(形容動詞)
「こう、そう、ああ、どう」(副詞)
「この、その、あの、どの」(連体詞)

このような言葉をよくつかっていませんか。とくに、ビジネス文書では「こそあど」は抽象的であることから同じ解釈として伝わりません。次の文章をどのように修正すればわかりやすくなるか考えてみてください。

元文章
○企画書に書いてあるようにこんな感じでお願いします。
○提案の件ですがどんな感じになりますかね?

修正後
→企画書の見積もりどおり税込み100万円でお願いいたします。
→提案の件ですがご検討の状況はいかがでしょうか。

数値などを入れて具体的に言い換えることで伝わりやすくなります。ビジネス文章は誰が読んでも同じように伝わることを意識しなければいけません。もし、文章が伝わりにくいと感じた場合、「こそあど」をつかっていないか検証してみてください。

なお、筆者11冊目の拙著『即効!成果が上がる 文章の技術』(明日香出版社)は、発売2週間で3刷と堅調です。応援していただいた皆さまに心から御礼申し上げます。

尾藤克之
コラムニスト、明治大学サービス創新研究所・研究員
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