ケリー氏が金融庁の誰から話を聞いたのかがそもそも問題なのだが、金融庁から正式の書類での回答を貰っているのでない限り、金融庁の一職員が大丈夫でしょう、などと言っても、私はその話を鵜呑みにはしない。
大丈夫かどうかは、すべての事情を把握した上で、内部の稟議を経て正式の書類にしてもらわない限り、あくまでその職員限りの判断であって、組織としての金融庁の見解とは認め難い。
私が富山県の選挙管理委員会の書記をしていた時にあちらこちらの市町村の選挙管理委員会の職員から問い合わせがあった時に、先例、判例がある事項については確定的な回答が出来たが、先例、判例がないような事項については部内での稟議を経た事項でないと答えなかったものである。
自治省行政局公務員部給与課で地方公務員災害補償法担当をしていた時に地方公務員災害補償法の具体的適用について都道府県の災害補償担当者から照会があった時もそうだった。
滅多なことでは大丈夫だなどと相手に言質を与えることはしないのが公務員の習性だから、ケリー氏が金融庁の職員からお墨付きを得ていた、などと言っても私にはそう簡単には信じられない。
何を信じていいのか分からないじゃないか、という悲鳴を上げられる方がおられるが、今は役所からそれなりに文書での回答が得られるようになっている行政事務もありそうである。
さて、ケリー氏はそこまでやっていたか。
ケリー氏がそこまで周到だったとしたら敬意を表するに吝かではないが、今までの報道を見る限り、そこまでのことはしていないようである。
念のため。
編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2018年12月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。