こんにちは、東京都議会議員(大田区選出)のやながせ裕文です。
平成31年度与党税制大綱が決定。都税から地方に9,200億円が配分されることになりました。これを受けて、小池知事は会見で「地方分権は死んだ」と発言。
小池都知事「地方分権は死んだ」=都税再配分額が倍増-与党税制改正大綱(時事通信)
都民の損失は拡大し、地方自治の根幹を揺るがす政府の蛮行は容認できるものではありません。
日本は、明治維新以来150年、中央政府に税源を集中させ、全国の自治体への再分配を権力の源泉として、地方を支配する体制を築いてきました。長い歴史があるのです。偏在是正措置は、その強力な手段のひとつ。根本的な解決のためには、この中央集権体制のあり方そのものを変革する必要があります。
東京都は「税制の抜本改革」を主張するだけでなく、広域で偏在是正に資する「道州制」の導入など、「真の地方分権に向けた統治機構改革」を訴え実現することが必要なのです。
しかし、この間、偏在是正措置について、都選出でない国会議員など、さまざまな立場の方と意見交換をしてきましたが、特に指摘されたのは「天下りをやりたい放題の東京が、税金を持っていくなと言っても説得力がない」との論。
これは象徴的な言葉で、都庁は内部改革もせず、利権を温存し税金を浪費している。だから困難な状況にある自治体にまわすのは当然だ、というのです。
昨年度、国家公務員一般職の管理職職員による外郭団体への再就職は1443人中65人(4.5%)。東京都における課長級以上の職員による、外郭団体への再就職は182人中34人(18.7%)。「現在の都の状況は、国における公務員改革以前の状況だ」との厳しい意見も頂戴しました。
また、天下り団体への特命随意契約も、小池知事が就任してからも金額は伸び続け、昨年度は、1359億円に及びます。
今回(第4回定例会)議案でも出ていますが、天下り団体であるJKK(住宅供給公社)との特命随意契約は、住宅管理という民間の得意分野で、なぜ高コストで特命契約にしなければならないのか、さっぱりわからない。我が会派は反対する予定ですが、可決されるでしょう。こういう案件がゴロゴロしているのです。
改革をしていない。だから、税を収奪してよいというのは暴論です。
しかし、「東京都は無駄遣いしている」という意見は蔓延しており、収奪を是とする雰囲気が都民の間ですら醸成されている。偏在是正措置がおかしいと訴えるだけでなく、都は足元を固め改革を進めること。これが国民世論を形成していく上でも、極めて重要ではないでしょうか。
小池知事は選挙時にアンケートで「天下りと出資法人などを含め、利権構造を抜本的に見直す」と回答し、また「利権を一掃する」と発言をしてきた。この約束をしっかりと果たすべきです。
なお国政政党、日本維新の会は、分権改革を目指す政党として、偏在是正措置に反対の立場を明らかにしています。都議会でも、都庁の抜本的な改革に向けて厳しくチェックしていきます。
編集部より:この記事は、東京都議会議員・柳ヶ瀬裕文氏のオフィシャルブログ 2018年12月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、やながせ裕文オフィシャルブログ「日々是決戦」をご覧ください。