旧型F15を米に売却検討 政府、装備品調達の財源に(日本経済新聞)
日本政府は航空自衛隊が保有する戦闘機「F15」の一部を米国に売却する検討を始めた。米国から新たに最新鋭ステルス戦闘機「F35」を105機追加取得する際の原資に充てる。財政再建を進めるなかで防衛費が膨らんでいることへの批判にも対応する。すでに日米高官が協議を始めており、機体の数や売却額など詳細を今後詰める。
複数の政府高官が明らかにした。中古戦闘機の米国への売却は初めて。
さすが日本を代表する経済紙、書かなくていい誤報をさらっとします。三菱重工製のF-104Jが米国経由で台湾に輸出された、つまり今回のスキームと同じことが過去に行われたのをご存じないらしい。
書いた記者も、デスクも、校閲も気が付かなかった。
これは記者クラブメディアがジェネラリストばかり養成して専門記者が少ない弊害でしょう。
しかも日経は指摘をしても認めないし、書いた記者の名前さえ教えない。
だから同じような間違いを平気で繰り返します。
さて、本題にはいると、基本的に中古装備の輸出は振興すべきです。血税で取得した装備を輸出して国庫にいれることは効率化の面で重要です。
FH-70や74式戦車、P-3C、護衛艦なども更新するものは輸出すべきでしょう。英国など他国には国防省に販売専門の部局が存在します。これは空母から靴下まで販売しております。
例えばトラックや、ブーツなどは民間にも払い下げております。不用品をすべて廃棄すると膨大なカネがかかりますが、安価でも売り飛ばせば、多少なりとも国庫に入るので、プラスとマイナスでは偉い違いとなります。
また、装備の移転に伴い、技術や運用を指導する人間を、自衛隊を退職した人間に任せるならば再就職確保にも役立ちます。そういう会社を設立するのも一種でしょう。装備庁あたりの外局にすると効率が悪いので株式会社方式にすべきです。
単に現役の定年を延長するよりも40代ぐらいでこういう形で再雇用を行えば、隊員の平均年齢も低下にも寄与します。またメンテナンスを日本企業に担当させる、あるいは技術指導をさせる、航空機であれば延命措置や近代化を日本企業が担当することになれば、国内企業に相応のお金が落ちます。
ただ売れるかどうかは問題です。
果たして東南アジアで、双発で維持費のかかるF-15Jを必要とする国があるか、いささか疑問です。まあロシア製の双発機を買っている国も少なくないので、意外にいけるのかもしれませんが。
■本日の市ヶ谷の噂■
陸自の新拳銃調達、HK、グロック、ベレッタの3社の輸入品に絞られ、ミネベアによるライセンス生産の目はなくなった。約1万5千丁の調達は5年間で行われる予定だったが、1年で一括調達される可能性もあるとの噂。
独 European Security and Defence 誌に寄稿しました。(英語)
Japan in Depth に以下の記事を寄稿しました。
装輪155mmりゅう弾砲は必要か 上
装輪155mmりゅう弾砲は必要か 下
編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2018年12月24日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。