2018年の、音楽に関する振り返り。今年のフェイバリットアルバム10枚。この企画はもう十数年やっていて。
ここ数年は毎年、「アルバムという単位でいいのか?」「”音源”だけで語るべきなのか?」「”今年”にこだわるべきなのか?」という迷いは、ある。私の音楽生活を振り返ってみても、書斎や研究室で作業中に聴く音楽はいくつかの定番(坂本龍一率高め)だし。新譜は定額配信サービスで気になったものをチェックするという感じ。
音楽を楽しんでいると感じる瞬間といえば、ライブで。今年も春、夏とフェスに参加したし、X JAPANの「日本公演」などなかなかチケットが取りにくいライブをチェックでき。日常的にふらりとライブハウスに行ったりもした。ライブは、記憶に残る。
今年のトピックスといえば、フィジカルなCDを1枚も買わなかったことだろうか。いや、1枚だけ買った。会社員時代の上司の送別会で、ゲスト出演していたアーティスト(元社員らしい、在籍期間がかぶっていないのだけど)のCDだ。お付き合いで買ったという感じ。フィジカルなコンテンツは、こういう記念グッズのようになってしまっている?
さて、本題。私の選ぶ今年の10枚はこれ。
TOM MORELLO『THE ATLAS UNDERGROUND』
PRODIGY『NO TOURISTS』
中田ヤスタカ『Digital Native』
Perfume『Future Pop』
きゃりーぱみゅぱみゅ『じゃぱみゅ』
Starcrawler『Starcrawler』
ZIGGY『ROCK SHOW』
SABER TIGER『OBSCURE DIVERSITY』
佐野元春 & The Hobo King Band『自由の岸辺』
東京スカパラダイスオーケストラ『GLORIOUS』
邦楽多め。ジャンルは幅広く。
『THE ATLAS UNDERGROUND』は、RATMのTOM MORELLOがEDMとコラボという実験作、意欲作。これが面白くないわけがない。電子音をバックに、いつもの唯一絶対無二の音を奏でる様子は圧巻。むしろ、自然に感じた。そういえば、昔、ATARI TEENAGE RIOTとコラボしていたような。ライブパフォーマンスもみたい。
PRODIGYの『NO TOURISTS』は横綱相撲という感じ。大きくうねる音が魅力。電子音を駆使しつつも、バンド・サウンドという感じ。
2018年も中田ヤスタカの年だった。昨年あたりから、いい意味で、枯れた感じで。円熟のデジタルポップ。このソロアルバムも、バキバキに踊るものでもなく、電子音に包み込まれるかのような音。タイトルにあるとおり『Digital Native』そのものの音。
Perfumeの『Future Pop』も、中田ヤスタカの変化を感じるものに。音の一つひとつの輪郭がくっきりしていていい感じ。タイトルチューンに代表されるように、静と動の両立がいい感じ。
きゃりーぱみゅぱみゅの『じゃぱみゅ』は歌心いっぱいのアルバム。なんせ、歌詞がいい。「キズナミ」「恋ノ花」が傑作。
フジロックのYouTube中継で見かけたStarcrawler。もう際どさが半端ない。こういう存在からして危ういバンドは久々かも。ロック界のセレブたちが礼賛するのも納得。
昨年あたりから、再ブレーク中のZIGGY。今のメンバーは過去最高に上手いし、華があっていい感じ。そんな魅力を詰め込んだ1枚。森重節もますます磨きがかかっている。
ようやく活動が軌道にのってきた感じがするSABER TIGER。なんせ、トラブルが多いバンドで。最新作の『OBSCURE DIVERSITY』は圧巻の1枚。音圧に圧倒される。
佐野元春 & The Hobo King Bandのセルフカバーアルバム『自由の岸辺』は、ドライブのお供にぴったり。枯れている演奏がいい感じ。楽曲の秀逸さが際立つ。
スカパラの『GLORIOUS』は、ロック色も強くて痛快。気持ち良い音。
他にもよく聴いたアルバム、佳作はいっぱいだったけど、こんな感じ。
定額配信の次にくるものは何なのか、ライブの時代はどう変化するのか。激しく見守りたい。まあ、アーティストも関係者も、それぞれの最適な売り方、伝え方を模索しているよねえ。うん。来年も気持ち良い音楽生活をおくれますように。
編集部より:この記事は常見陽平氏のブログ「陽平ドットコム~試みの水平線~」2018年12月27日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。