『枠の中の傾奇者』になりたくて

私の人生哲学及び経営哲学は『敵を作らない』ことです。

田舎の家に生まれ、親から「人様に後ろ指を指されるようなことはするな!」と言われて育った私は、他人への見せ方を人一倍気にしています。一見すると破天荒に見える私の人生ですが、ターニングポイントでは必ず周りを納得させた上で動いてきました。

私は自身を、枠をはみ出せない人間であると自覚しているし、それは死ぬまで変わらないと思います。枠の中で暴れ尽くすことこそが、私らしい生き方だと思っています。

しかし、世の中には、他人に迷惑をかけようが、自分の信念を貫き通す人がいます。正に、現代の『傾奇者』です。傾奇者には、常識を覆し革命を起こすパワーがあります。そういう人は、好き嫌いが真っ二つに分かれます。単なる傍迷惑な人と思う方が多いと思います。

そんな大半の人が「いい加減な奴」とレッテルを貼るような人間に、私は憧れて近寄ってしまいます。自分には絶対に出来ない生き方だからこそ、学ぶところがたくさんあるのです。反面教師の部分も含めて(笑)

私の唯一無二の親友に、Mという男がいます。彼に出会って25年の月日が経ちました。彼の凄さは、枠の中で『傾奇者』を演じていることです。多少のやんちゃもするけれど、誰もが彼の人間的魅力に魅了されてしまいます。私は、そんな彼に嫉妬し、ライバル心を燃やし、自分が枠の中で暴れる刺激としてきました。

先日会った時は、管理職としての悩みを相談されました。彼はいわゆる大企業に就職し、私はベンチャー企業に就職し、30歳で取締役になったので、管理職キャリアは私の方が長いということでの相談でした。ALSになって、動けない・喋れない私に対して、彼は過去と全く同じ調子で接してくれます。話す内容は変わっても、この関係は一生続くと確信しています。

彼の結婚式の時に、彼の母親から「あなたと出会ってから、本当にあの子は変わった。これからもよろしくね」という言葉を頂きました。人様の親御さんから、こんな言葉をかけてもらうことは、普通はありえません。お礼を言うのはこちらの方です。

これからも、お互いを意識して、高め合い、『枠の中の傾奇者』を演じ続けていきたいです(笑)


この記事は、株式会社まんまる笑店代表取締役社長、恩田聖敬氏(岐阜フットボールクラブ前社長)のブログ「片道切符社長のその後の目的地は? 」2018年12月29日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。