2019年世界展望:「補」の年になる?

明けましておめでとうございます。

このブログも2007年から365日アップ体制にしてきました。よく書けるね、と言われますが、私からすれば皆さん、本当によくコメントをくださっています。これぞ元気の素、ありがとうございます。今年も頑張って継続していきたいと思います。

さて、年初恒例の世界展望と日本展望、まずは今日は世界展望から考えてみたいと思います。

2018年1月1日の世界展望で私は「乱」の年になると書かせていただきました。ほぼ、その通りになりました。では、19年ですが、私は「補」の字を当てはめてみたいと思います。「補」は補う、足りないところを繕う、といった意味ですが、18年に乱れた様々な問題をどう解決していくか、苦闘しながら問題解決をする「補正」の一年という予想を立てています。

Gage Skidmore / flickr、Wikipediaより:編集部

最大の「補」は米中貿易戦争。3月1日までに何か合意をしないと本格的貿易戦争に突入しますが、トランプ大統領も習近平国家主席もそんな状態になりたいとは微塵とも思っていません。2人とも民の目があり、反対勢力もあります。それ以上にトランプ大統領は自作自演のハリウッド映画の如く、最後はハッピーエンドで終わり、トランプ大統領が喝さいを浴びるようなシナリオを作っているはずです。

次の「補」は株価対策。トランプ大統領は執務室にいても株価を常に気にしているとされます。そんな人気バロメーターのような株価が乱高下するのは不都合であります。そのキーパーソンであるFRBのパウエル議長は大統領の遠吠えには耳を貸さなくても着実に利上げスタンスの減速を行うとみています。FRBの金融政策の失敗で経済がハードランディングしたとは逆立ちしても思われたくないでしょう。

アジアに目を向けてみましょう。中国は国内経済対策が12月に発表されており、国内経済回復策を強力に推し進めるとみています。一部からは中国経済はGDPで実質1%台程度しか成長していないという声もある中、ビジネスマインドの回復に努めるとみています。

韓国と北朝鮮の関係も「補」であります。双方の絶たれていた経済、文化及び人的交流は少しずつ回復する兆しが出てくるかもしれません。しかし、それは他の国からみれば決して手放しで喜ばれない難しいものになりそうです。その上、韓国内では北朝鮮人が韓国に流れてくることに対し、一種の「総論賛成各論反対」の二面性があるように見受けられます。(南北が統合されるのはいいことだが、自分はかかわりたくないという背反性です。)一方、双方の交流強化という名の下、韓国の北朝鮮への属国化が進めば韓国が大混乱に陥る可能性は否定できません。

官邸サイトより:編集部

TPP11は18年末にいよいよスタートし、アジア、オセアニア諸国やカナダ、メキシコとの連携が徐々に強化されていきます。これによる地域経済への「補」は着実に進んでくるとみています。個人的にはカナダと日本の貿易にかなり好影響が出るとみています。特に日本酒の関税がゼロになったことでカナダで日本酒ブームが来るかもしれません。

欧州はまさに「補」だらけ。その中で最大の注目は英国とEUの関係でこの答えは3月29日までには明白になります。19年第一4半期の最大の焦点は米中貿易戦争と並び、もっとも注目される政治ゲームとなることは請け合いです。

他にもいくらでも例は挙げられるでしょう。19年は18年の教訓を踏まえてどうにか、それを直していこうとするのではないかと思います。ただ、リーマンショックや欧州危機の時は国家元首や影響力ある人たちが夜を徹して解決策を見出してきました。

今、世界のリーダーたちの顔ぶれを見るとそれを期待するのはまず無理です。つまり、世界を牛耳る人材は駒不足に陥り、民の不満の声がより聞こてくるかもしれません。各国の政権はこれを受け止め、安定化させることは悪く言えばポピュリズムですがいわゆる民主主義がより強化されてくるのかな、とも感じます。

ディスクロージャーがより強化され、誰もが情報を手にし、民の一人ひとりが自分の住む世界を考える、そんな展望を予想しています。これは決して悪くない話です。ただし、しっかりしたリーダーを持たないと世界はカオス(混沌)と化します。民の声をきっちり反映できるリーダーシップが求められる時が来るのでしょう。それも長くは続かないと思いますが、変遷の一過程になるのではないでしょうか?

では今日はこのぐらいで。明日は日本展望を考えてみたいと思います。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2019年1月1日の記事より転載させていただきました。