(追記)落合陽一さんに学ぶ、百姓的に生きる新たなワークスタイル

黒坂 岳央

【編集部より】 掲載後、池田信夫から本稿の題材にしている落合陽一氏による「百姓」について、「言葉の使い方が間違っている。これは「いろいろな仕事をする人」という意味ではなく、統治者からみた「いろいろな生業の民」という意味」という指摘がありましたので、お含み置き下さい。


こんにちは!黒坂岳央(くろさかたけを)です。
※Twitterアカウントはこちら→@takeokurosaka

世の中は1つの仕事を「プロフェッショナル」として、遂行することを良しとする風潮が未だに根強いです。一年365日寿司を握り続ける寿司職人の方が、ある時は寿司を握り、またある時はフレンチを作る寿司職人より、プロフェッショナリズムを感じてしまうのではないでしょうか。

もちろんそうした生き方は決して否定しません。

「人生は短い。働ける期間はもっと短い。1つの事に従事しないものは結局ハンパ者なんだ」

多くの人はそう考えているでしょう。しかし、私はまったく異なる考え方を持っています。

落合さんに学ぶ「AI時代の百姓的な働き方」

科学者、教育者、メディアアーティスト、起業家として多岐に渡って活躍をする落合陽一さん。現代に蘇るマジシャンのような方で、鮮やかな手品を見せられているような、そんな超然とした雰囲気の持ち主のインテリです。

「百姓的な働き方」を提唱する落合陽一氏(ツイッターより:編集部)

彼は「これからは百姓的な働き方を目指すべきだ」と主張しています。百姓というのは、100の業を持つ人達のことです。お米の収穫が終わったら、傘を直し、瓦を直し、門松を作りと色んな仕事を横断的にしていました。

私はここに未来のワークスタイルのあり方を感じます。

複数の収益源を持つ意義

これからは

「1つのビジネスで永続的に食べていける仕事につく」

という考え方はリスクでしかないと思っています。ビジネスで1という数字はリスクです。

1つの勤め先、1つの事業、1つの収入源…。

これでは本家大本の仕事が倒れたら、いきなり立ち行かなくなってしまいます。そしてそれはいかに本業の仕事を真面目に、お客様第一主義でやっていても、時代の流れで淘汰されてしまう事がありますし、ライバルが出現することでお客を全部持って行かれるという自体もあるのです。

活気のあった田舎の商店街にイオンが出現してシャッター街になりましたが、今後はAmazonの出現でイオンが脅かされていくでしょう。そうなると、どれだけ今食えていても将来はわかりません。

複数の収入源を持つ意義はここにあります。

複数のビジネスをやると化学反応が起きる

私は複数のビジネス、複数の収入源を持っています。いわゆる百姓的に色々とやっているのですが、取り組んでいて面白いと感じるポイントがあります。それは、それぞれのビジネスが化学反応を起こす事があるという事実です。

例えば私はフルーツギフトショップを運営し、仮想通貨投資もやっています。いつもはフルーツの事をビジネス記事やニュース記事に書いているのですが、マネープラス(マネーフォワード)で「高級フルーツにブロックチェーン技術(仮想通貨)を取り入れることで、産地偽装を防止できる」という記事を書いた時に大きな反響が得られました。これは仮想通貨とフルーツの両方をビジネスや投資として取り組んでいたから書けることです。

また、株やFX、海外不動産投資から得られる経済、財政、金融の知識を、英語ビジネスの情報発信に活かしています。

多くの、英語教育者は「経済学」や「金融」の専門家ではありません。ですので、「これからはグローバル化でとにかく英語が重要になる!」という主張はしますが、どこか抽象的に感じるのです。

「グローバル化で、これからの日本の未来はどうなり、英語の必要性は具体的にどうなる?」

を書く「英語教育者」はあまりいません。私は経済・金融系外資勤務経験と、投資をして経済記事を書いている仕事もしていますから、「経済学×英語」や「英語×投資」というテーマで記事を書くことで差別化しているわけです。これはそれぞれのビジネス知識が化学反応を起こした結果です。

(参考)
これからの超グローバル時代で稼ぐために英語が死ぬほど重要な理由
もしも英語が出来なければ、あなたの未来がどうなるかをお伝えしよう
英語を制するものは、投資を制する

複業で1万人に1人の人間になろう

これからのAI時代は、複業で希少性を高めていく必要があります。労働集約的な仕事はAIやロボットにおまかせし、人口減少社会のさなか、必要なのは希少性のある人間になることです。1つのビジネス分野でプロフェッショナルを目指し、一生食べていけるのはイチロー選手のような天才だけです。

一流でなくても、0.7流、0.8流でいいから、「複数のビジネス」「複数の収入源」を持つという発想が重要です。

私より英語ができ、

フルーツに詳しく、

本を書き、

成績の良い投資家で、

稼ぐアフィリエイターで、

優秀なジャーナリスト

は世の中にたくさんいると思います。しかし、その全部をビジネスとして本気で取り組み、収益をあげている人は、おそらく日本では多くないと思われます。

複業を持ち、日々ビジネス同士が化学反応を起こして差別化を図りながら、前へ進んでいく「百姓的な働き方」がこれからの時代は生き残る事が出来るのではないでしょうか。

黒坂 岳央
フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」 代表

ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。