アメリカで浸透しつつあるDry Januaryとは?

日本の皆様におかれましては年末年始、忘年会に始まりお正月、新年会などで飲酒量が急増した方が多いのではないでしょうか?

アメリカ人もクリスマスやニューイヤーイブ、つまり大晦日で肝臓を酷使しがちです。そのせいか、最近ではドライ・ジャニュアリー(Dry January)が浸透しつつあります。

Dry Januaryとは何か?そう、1月1~31日の丸1ヵ月に及ぶ禁酒です。

Dry Januaryは、どのように産声を上げたのでしょうか?元をたどれば、フィンランドで第2次大戦中の1942年に展開した「1月禁酒(Sober January)」に由来します。それが2014年頃から徐々に芽が伸び、飲酒習慣(1週間に1回以上)をもつ16歳以上のシェアが57.0%を占める英国で普及していきました。本格的に広がるようになったのは、英国の非営利団体”アルコール・コンサーン”が同年半ばに商標を取得し、キャンペーンを開始したためです。2015年1月には初めて、英国公衆衛生庁とタッグを組んで禁酒を呼び掛けました。

アメリカ人の2019年の抱負として「禁酒」は上位に入らなかったとはいえ、実は飲酒する成人の割合は上昇傾向にあります。米国医師会の精神医学専門誌”JAMAサイキアトリー”によれば、過去1年間に飲酒した18歳以上の割合は2012~13年で全体の72.7%と、2001~02年の65.4%から上昇しました。約10年間でみると、11.2%増加したといいます(データ元によれば、それぞれの2年間から計算)。

リスクの高い飲酒(男性であれば1日に5杯以上、女性なら1日に4杯以上を1週間に1回以上飲むこと)人口も、成人全体の9.7%から12.6%へ上昇、過去10年間に29.9%増加しました。さらにアルコール依存症の割合に至っては8.5%から12.7%へ上昇、約10年間で49.4%も増加したのです。アメリカで飲酒人口が増え、飲酒量も増加してきた結果、社会問題として注目を浴びるようになり、#Dry Januaryのタグを通じソーシャルネットワークなどで浸透するようになったのでしょう。

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作成:My Big Apple NY

Dry Januaryが効果的であることも、普及につながったと考えられます。英サセックス大学が800人を対象に調査したところ、1月に1ヵ月禁酒したおかげで、半年後の1週間当たりの飲酒日数は調査前の平均4.3日から3.3日に短縮しました。飲酒量も、1日当たり8.6杯から7.1杯(1杯=10ミリリットル、ワインならグラス半分、ビールなら3分の1パイント)へ減少したのです。被験者のうち「達成感を得た」との回答は98%、「節約できた」は88%に及びます。

こうした成功例を受け、アメリカでも広がりつつあるDry January。太平洋を渡り、新年会という壁を越え、日本にも到来するでしょうか?

(カバー写真:bark/Flickr)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2019年1月9日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。