米国の金融政策を決定するFOMCでは、7名の理事と5名の地区連銀総裁の計12名が投票権を持っている。このうち理事とニューヨーク地区連銀総裁は常任メンバーとなり、投票権を持つ地区連銀総裁の4名は毎年入れ替わる。
2019年となりこのメンバーが入れ替わる。現在の議長はジェローム・パウエル氏。副議長はリチャード・クラリダ氏(金融政策担当副議長)とランダル・クオールズ氏(銀行監督担当副議長)。
理事は議長と二人の副議長に加え、ラエル・ブレイナード氏、ミシェル・ボウマン氏の二人の女性が理事に就任している。指名されていた元FRBエコノミストのネリー・リャン氏は理事の就任を辞退したと伝えられた。同様に2017年11月にFRB理事に指名されたマービン・グッドフレンド氏についても就任に向けたプロセスは滞っているとブルームバーグが伝えている。いまのところ理事は2つ空席となっている。
常任メンバーであるところのニューヨーク連銀のジョン・ウィリアムズ総裁(前サンフランシスコ連銀総裁)に加え、クリーブランド連銀のロレッタ・メスター総裁、リッチモンド連銀のトーマス・バーキン総裁、サンフランシスコ連銀のメアリー・デイリー総裁、そしてアトランタ連銀のラファエル・ボスティック総裁が加わる。
それぞれハト派、タカ派といった区別もされているが、金融政策の行方については、パウエル議長が先導し、クラリダ副議長や副議長的な立場とされるニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁がそれを補佐するような形になると思われる。
ハト派とタカ派の勢力図というよりも、利上げが継続できる環境にあるのかどうかに掛かっているといるのではなかろうか。12月に開催されたFOMCの議事要旨によると、多くの参加者が、追加利上げを我慢強く判断できると表明するなど、利上げ見送りの姿勢も示している。今年のメンバーは若干替わるものの、このスタンスが継続されるとみている。そうなると年内は現状維持か、場合によっては1回程度の利上げがあるかどうかとなるのではなかろうか。利下げについてはさすがにないとみている。
編集部より:この記事は、久保田博幸氏のブログ「牛さん熊さんブログ」2019年1月10日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。